監視報告②
「まぁ、何処かに存在すると言う転移アイテムか転移できる人が現れれば、何処の大陸から『英雄召喚』を行った後。攻略までの間だけ力を貸して貰うという反則技もありますが」
「転移ですか?‥‥‥それは古の昔に失われた妙技だと聞きますが?それにできたとしても莫大な予算を使ったうえでの簡易移動魔法を連続に行う疑似転移の様な事しか現在のアルトネ大陸の技術では不可能なのでしょう?サイレント」
「はい。その通りです。スクルア陛下」
「ちょ、ちょっと待って!エドワードちゃんもスクルア様もさっきから何の話をしているのかな?このセルビアにも分かりやすく教えて欲しいんだけど」
我々の会話にセルビアさんが割り込んで来ました。
「おや、セルビアさんはまだ、スクルア陛下に聞いていませんでしたか?例の『レイカの迷宮』に巣くう怪物を」
「怪物?何の事~?エドワードちゃん!」
「‥‥‥えぇ、お答えしますよ。セルビアさん。入るのですよ。この王都『アルベルト』の地下深くに」
「ん?何が?」
「ラグナログの一角にして獰猛なレジェンドモンスター‥‥‥‥◯◯◯◯◯が!」
「えっ?何?最後聞き取れ無かったんだけど?エドワードちゃん!」
セルビアさんがそう言いながら僕に近寄ろうとすると。
ジリリリリリ!!!
僕のポケットに入れていた魔時計が鳴り。学園の1限目が始まる時間を知らせる為のアラームが王宮に鳴り響きました。
「おっと!時間ですな。では、スクルア陛下、サイレントさん、セルビアさん。僕達は授業がありますので、これにて失礼します」
僕はそう言うと神楽さんを抱き抱え。
「失礼します‥‥‥って何で私を抱き抱えるんですか?ユグドラ君!!」
「いえ、このままだと遅刻しますので」
「ですから何でも皆さんの前でやるんですか!貴方はっ!もう!」
神楽さんはそう言いながら。顔を茹で蛸の様に赤くしています。
「はぁ、まぁ、良いです。貴方がしっかりと考えて行動している事が知れただけでも今日は収穫でした。下がりなさい」
「はい!陛下!では、サイレントさん。これを貴方に念の為。お渡ししておきますね。セルビアさんもお元気で~!ではでは」
僕はそう言うとサイレントさんに小さな小箱を放り投げました。
「待ってください。この状態では私のパンツが丸見えに‥‥‥‥」
「神楽さん。貴女、いつもスパッツ履いているでしょう?」
「いえ!今日は急いでいて履いて‥‥‥って!待ってください!何で、城の窓から出ようと‥‥‥‥キャアアア!!!」
「?ユグドラ君。この小箱は‥‥‥‥って。もう行ちゃいましたか‥‥‥」
「相変わらずのマイペースだよね~!エドワードちゃん!九聖光と神ノ使徒もいきなり辞めちゃったしさ~」
「‥‥‥監視報告とさっきの彼の説明を聞いて色々と辞めた理由にも合点が出てきましたがね」
「合点?」
「我々も準備をしていかねば遅れをとりかねません。ですが、まず始めに決めることはやはり。スクルア陛下!」
「えぇ、九聖光の空いてしまった一席を埋める為、近日中にこの王都アルベルトでの『九聖光杯』を開きましょう!」
こうして、僕と神楽さんが王宮から離れた後。
後に伝説の死闘が繰り広げられ歴史に名を残す大会。
『九聖光杯』の開催が決まったのでした。




