魔法書
『アレイ邸』レイカの部屋・深夜
「眠れないわ‥‥‥」
今日は色々な事があった筈なのに身体の疲れは夜食前の軽い睡眠を取っただけで何処かに吹っ飛んでしまった。
「アルゴンの呪いから解放されてからは毎日のリハビリや禁忌の森でのモンスターとの戦いで、毎日疲れていたけど。王都じゃあ、そもそも、モンスターとの緊迫した戦闘も皆無だから、疲れることも無いのよね」
そして、私は部屋の中にある魔法書が並べられた本棚を見た。
「‥‥‥‥頭を疲れさせるには丁度良いわね。読んでいればそのうち寝落ちしてそうだし」
私はそう言うとベッドを離れ、本棚の前に立つ。
「なになに‥‥‥‥マーリン先生のドキドキ!魔法トレーニング‥‥‥‥こっちは?‥‥‥‥ユグドラ君の魔法初心者講座‥‥‥ユグドラ君?‥‥‥‥まさかね‥‥‥え~と!まだまだ、あるわね。ナルカミ式・現代魔道具の扱い方に‥‥アルトネ大陸の魔法大全」
私は本棚に並べられている、本、一冊、一冊の題名を確認しながらどれを読もうか思案した。
「なんか、西大陸の魔法書がやたら多いわね。逆に東側の大陸の魔法書は極端に少ない‥‥‥何で?」
暫く。この違いについて考えてたけど。気にしない事にした。
「まぁ、いっか!そんな事より、早く読む本を決めないと‥‥‥‥決めたこれにしよう!」
バッと!本棚に並べられてた一冊の本を掴み。手に取った。
「これよ!これ!題名からして凄く気になったのよ!」
『カンナギ剣術と魔法の関係』
え~っと、なになに?‥‥‥‥‥今日まで続いているカンナギ剣術に対し、我々、魔法協会はアルトネ大陸、独自の魔法体系を確立した現代魔法をカンナギ剣術の技にどう組み込むかを書いた魔道書である。
「カンナギ剣術にアルトネ大陸の魔法を組み込む?‥‥‥フムフム」
その後、私はこの一冊の本を夢中になって読み更けた。
次の日
「ふわあぁぁぁ!!ねむ」
「なんだか眠そうですね?レイカさん。昨日は夜、遅くまで何かしてたんですか?」
「‥‥‥‥魔法書を少々‥‥‥コクり‥‥‥‥」
「魔法書?もしかして、レイカさんの部屋の本棚にあった魔法書を読んでいたんですか?」
「コクり‥‥‥‥」
「レイカさんは勉強熱心なんですね」
「‥‥‥‥コクり‥‥‥Zzz」
「レイカさんに使っていただいてる部屋は元々、家の書庫だったんです。レイカさんが魔法のお勉強に使うのでしたら、別の部屋にある魔法書もお持ちしましょうか?」
「コクり‥‥Zzz」
「分かりました。後でレイカさんの部屋の本棚に並べておきますね」
「コクり‥‥」
ドガアアアアアアンンンン!!!
「へっ?なに?爆発?」
アレイ邸のキッチンから、とてつもない爆発音が鳴り響き。その爆音で私は目を覚ました。
「ソフィアさーん!またですかーー!」
「ふえぇぇぇ!!すみませんー!アレイ様。また、ヤっちゃいましたー!」
全身真っ黒黒すけになったソフィアがキッチンからやって来る。
どうやら、また、ソフィアがキッチンを爆発させてしまったらしい。
「朝食は私が作りますので。ソフィアさんは学園に行く準備を終わらせてください」
「はい~!ごめんなさい~」
アレイちゃんはそう言うとキッチンへと向かい、朝食を作り始めたのだった。
魔剣学園『アルティア』
「‥‥‥ふあぁぁ、まだ眠いわ」
「大丈夫ですか~?レイカ様~」
ソフィアが心配そうに私の顔を覗きこむ。
「うん、大丈夫。‥‥いやー、この魔法書が結構読み応えあって、夜遅くまで読み耽っちゃってね」
「『カンナギ剣術と魔法の関係』ですか~?なんだか難しそうです~」
「いや、それがそうでもないのよ。カンナギ剣術の基本と基礎魔法さえ、抑えていれば簡単に読み解けるわ」
「そうなんですか~?私も後で読んでみたいです~」
「ソフィアも?なら、お昼まで少し待ってて。もう少しで読み終わるから。それで大丈夫?ソフィア」
「はい~!大丈夫です~」
私とソフィアはそんなやり取りをしながら『アルファ』クラスの教室へと向かった。




