勝利宣言
魔剣学園『アルティア』運動場外
「これが姫君の力ですか‥‥‥‥凄まじい」
僕は、エドワード・ユグドラ。今、目の前で繰り広げられた姫君 対 姫君に反発を抱く人達の一人対多数‥‥‥‥このアルティアに集められた生徒は、下級クラスであろうと。アルトネ大陸内でも指折りの実力者がこの学園に集まってくる。
「その選りすぐりの生徒達の半分を剣術の一閃でなぎ払い。残り半分は先日まで覚えてすらいなかった水魔法で溺れさせるとは」
「だから、大丈夫だと言ったのですよ!レイカさん」
「凄いです~!そして、このイチジククレープ美味しいです~」
「そ、それは良かったですね。ソフィアさん。私にも一口下さい」
神楽さんとソフィアさんは僕の隣で女子トークを繰り広げますね。
運動場
「か、身体が動かねえ‥‥‥」「魔法は使えないんじゃ?」「いや、上位水魔法を自在に操っていただろう。誰だよ!嘘の情報を流したのは?」「し、知らないわよ。そんな事」
敗者の方々が、次々に負け惜しみを述べ始めました。
「まだ、やる気かしら?あなた達?」
姫君はそう言うと右手に持つカンナギ王家の伝説の武器『アルビオン』を一振、振り上げた。
「ひいぃぃぃ!!剣圧がぁ?!」
「あの歳で何であんな剣術ができるんだよ?!」
「負けです!俺の負け!」
「私の負けです!!」
敗者の生徒達はそう言いながら、運動場から蜘蛛の子を散らすように逃げ出して行きます。
逃げ出して行きますが、残る生徒も数人いました。1、2、3‥‥‥‥10人位の下級クラスの生徒が運動場の真ん中に残っています。
「‥‥‥‥あなた達は逃げないのかしら?」
「我々は残ります」
「はっ?ど、どういう事かしら?」
姫君は戸惑いながら、彼らを見上げています。
「私は貴女に、いいえ、貴女様。レイカ・ビクトリア(ビクトリアは偽名)様に従います」
「はぁ?様?」
「お、俺もです」「わ、私も従う」「お、俺に剣術を教えて下され」「ひ、姫にも教えて下さい」「我にもお願いいたします」
ある一人の黒髪の女生徒が言ったのを皮切りに、他の生徒達も姫君に次々に自身の言葉を言い放つ。
「い、嫌よ!私は自由になったんだから」
「で、では、この学園にいる間。レイカ様の親衛隊として、我々をレイカ様の身辺を守らして下さい」
「「「「「「「「「守らして下さい!!!!!!!!!」」」」」」」」」
残りの9人も姫君を見て、そう叫ぶ!
「い、嫌よ!嫌、嫌!私はもう、自由な冒険者!あなた達の事なんか知らないわよー!!!」
姫君はそう叫びながら、運動場から脱出しようとしましたが‥‥‥‥‥
「待ってください。レイカさん」
「うわっ!神楽さん?!なによ?いきなり現れて?」
「はい、挑戦者の皆さんに勝ったのです。勝利者であるレイカさんは、最後にちゃんと勝利宣言をしていただかないと困ります」
「はい?勝利宣言?」
「はい!よろしくお願いします。でなければ、この場から離れることは許しません」
流石、『列島大陸』出身の武人。試合の事になると厳しいですな。
「さぁ、レイカさん。勝利宣言を!」
「わ、分かったわよ!全く、目立ちたくないのに。‥‥‥‥‥この、試合、このレイカ・ビクトリア(偽名)が勝利した。それをここに宣言する」
姫君はそう言うと右手に持つ名剣『アルビオン』を高らかに持ち上げたのだった。




