高速の闘い
「お二人の動きが速すぎて何も見えません~」
ソフィアさんがそう言いながら。アワアワしてくる。
しかし、なんて高速の打ち合いをするのでしょうね。あの二人は‥‥‥‥。
九聖光である神楽さんならいざしらず、レイカさんの剣術はまるで幾百年、寝る暇も惜しんで修行に明け暮れた達人のそれにしか見えません。
彼女はユグドラ君が何処からか連れてきた娘。
いったい、彼女ほどの人が今まで名が知られずに何処で過ごしていたのでしょうか?
とても気になります。
『試験場』
「私の故郷である。『列島大陸・和国』でも貴女、程の剣の使い手はなかなかいませんでしたよ!レイカさん」
キイィィィィィン!!
「それは、光栄ねえ!ありがとう。それなら早くその剣を納めてよねえ!!」
ガキイィィィン!!
『会場一般席』
「おい!さっきから剣激の音しか聴こえてこないぞ?あの二人は何処に行ったんだ?」
「そんなの知らないわよ!」
「俺はてっきり九聖光の闘いが見れると思って期待してきたの」
「それなら、ここから出ていけばいいでしょう!不良さん」
「な、なんだと?!お前?」
「あーあー!あちらでは喧嘩が始まってしまいましたね。あの方達はどうやら魔術科の方達ですな。あの人達では、あの二人の動きはまず追えませんな」
「わ、私も終えません~!!グルグルグルグル」
「ソフィアさん。目を瞑りなさい。そして、私を頭に思い浮かべるのです」
「鬼の形相をしたアレイギルドマスターを」
ユグドラ君がソフィアさんの近くでその様なことを言うので。
「黙りなさい。不出来な元弟子。」
ブンッ!
私は彼に黒い飴玉を投げました。
「おっと!危ない」
華麗によける。ユグドラ君。
「ええ、そうですとも!このお馬鹿さん!!!いつも、いつも、イタズラして!反省しなさい。」
「なっ?後ろに回るとは?!」
私は彼の頭を大きなハリセンで叩きつけました。
「ゴッホ!」
「エドワード様~?」
「私達の決着は着きましたね。バカ弟子君。帰ったら貴方にも久しぶりに修行をつけてあげます。その弛んだ精神を矯正するためにね」
「グホ!はい‥‥‥‥」
「あちらの勝負もそろそろ終わりそうですね」
『闘技場』
「受けてばかりでは合格にはなりませんよ!レイカさん!」
「くっ!そうね。‥‥‥‥そうよね!うん。分かった!私の渾身の奥義技使わせてもらうわ‥‥‥」
「ほう!奥義技ですか?それは、楽しみです。では、私から参ります。神楽剣術・『神威坂』」
螺旋の様な夥しい剣戟が私に向かってくる。
「そう!それが貴女の奥義技なの。‥‥‥‥カンナギ剣術・『乱菊』!!」
「?!不味いですね!○○・○○『妖回廊』」
シュイイイイイインンン!!
エドワード君が何かを唱えた瞬間。私達2人が入る『闘技場』の周りを白い靄の様なものが覆っていく。
「なにこれ?」
「それはユグドラ君の『治癒魔術』の能力?‥‥‥ならば、私も全力で!‥‥‥‥?私の技が押し負けている?」
「『乱菊』は相手の剣技を乱す技。さぁ、吹き飛びなさい!」
「はい!そこまでです!お二人共。このままでは、二人のうちどちらかが大怪我をしますので。試合はここで終わりにさせます」
そう言いながら。アレイちゃんが私と神楽さんの間に割って入って来たのだった。




