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2.ドラゴン

 夜になった。まだ少し家の中で人が動く気配はあるが、この時間になればもう誰も朝まで部屋には入ってこない。


 本を閉じてベッドから起き上がり、魔法を使って音を立てずに窓を開け、外へと飛び出る。


 この部屋は二階にある部屋なので、慎重に着地して物音一つ立てずに、走り出す。


 ここからドラゴンがいる場所までは、三十分程。王国の外に出て、少し走り続ければすぐに着く。


 今から行く場所はなんでも、魔力の流れが歪んでいる不思議な所らしい。故に強い魔物等、あまり良くない物が集まって来る邪悪な場所である。


『最近になって、ドラゴンの目撃情報が増えている場所がある……』


 そう結構鬱陶しい父マレットが、仲のいい友人数人から教えてもらっているのをこっそり聞いた。


 なんでもその友人達は冒険者らしく、色々と噂話なんかを話してくれるらしい。


 その話から大体の場所が分かったので、数日前散歩ついでに夜行くと、本当に何故か魔力の流れが歪み、地面へと集まっていた。


「あの日はドラゴンはいなかった……だが、今日は満月。いるはずだ」


 満月の日は何故かドラゴンが一番活発に動く日で、あと少しだが、確実に気配がする。


 王国を守る壁を軽く飛び越えて森に入り、そして……


「あれは……馬車?」


 森の中の道。そこで魔物に襲われている馬車を発見した。襲っているのはダークウルフだ。四匹いる。


 随分と豪華な馬車で、きっと食料を載せているのだろう。その匂いを嗅ぎつけて、ダークウルフは襲っているんだ。


「くっそ……こんなところで……」


 馬車の護衛らしい一人がそう吐き捨てるように言う。まあ、見た限りだと護衛は二人らしく、勝ち目は薄い。強そうじゃないし、護衛の冒険者。


 俺は木陰に隠れて、とりあえず見守る事にする。


 冒険者の一人が剣を振ったと同時に、戦いが始まるが……案の定剣は弾かれ冒険者二人はすぐに打つ手をなくす。


 まあ確かに、ダークウルフ相手なら仕方がない事だ。結構強いからな、黒い魔物って時点でそもそも。


「助けるか……」


 俺が木陰から出ようと足を一歩踏み出した瞬間、馬車の扉がガバっと開いて、執事っぽい服装の男が出てくる。すると、その執事はなんと冒険者を馬車の中に入れて……


「私が相手です」


 そう言いながら武器一つも持たずに、戦い出す。それと同時に馬車は動き出し、執事を置いていく。


 見捨てられたのか、命一つかけてダークウルフ達を足止めする気なのか……前者なら可哀想だが……きっと後者だろう。決意が固まっている顔をしている。


 俺はそんな執事の戦いを見ることに……


「えっ、弱っ」


 ダークウルフの一匹にすぐに腕を噛まれると、痛そうにしながらうずくまる。その隙に残り三匹が馬車を追いかけ出す。


「行くか」


 俺は先に三匹の方に向かい、風魔法で刃を創って首をめがけて飛ばして、ほぼ同時に三つの首を落とし素早く、最後の一匹へ。


 弱い執事に魔法が当たらないようにしっかり見極めて、ダークウルフの首に指を当てて、風魔法で首を跳ねる。


「えっ……」


 執事は気が抜けた声を零すが、そんなこと無視して俺は執事の腕を掴むと、魔法で治してあげる。


 そこまで傷は深くない。数秒とかからずに治して、立ち去ろうとした時、木の陰から二匹のダークウルフがまた出てきた。


 俺は二匹を殺そうとして……


「行くな!殺されるぞ!」


 さっきの冒険者の声が耳に入り、馬車の方を見ると動いていた馬車から飛び降りてきたのか、少女がこちらに走ってきていた。


 それにダークウルフも気が付いたのか、俺から狙いを変えてその少女に向かう。


「お嬢様!逃げて下さい!」


 執事が咄嗟にそう叫ぶが、まあ問題はない。俺は踏み込んで、ダークウルフに一瞬で近付くと、指で首をなぞり跳ね飛ばす。


 辺に気配はもうない。これで殺しきったはずだ。


「お嬢様、ご無事ですか?」


「ええ、大丈夫よ。それにしても……あなたは?」


 立ち去ろうとした時、少女に視線を向けられて、思わず目があってしまう。


「女の子……えっ?あなた大丈夫?なんでこんなところに」


 こうなっては仕方ない。逃げるか。


「ちょっと!わ、私の名前はナユラ!感謝するわ!」


 ……よしよし、なんとか逃げ切れた。正直、この体であんな事をすると、良い言い訳が思い浮かばない。


 というかそもそも、この時間にいること自体アウトだし。見つからないようにやはり気を付けた方がいい。


 俺は気を改めて、ドラゴンの気配を探りながら走る。あと少しで着くはずだ。だってもう既に、魔力の流れが少しずつ歪み嫌な空気になり始めるているから。


「……上!」


 一瞬向けられた嫌な視線。その視線をすぐに探し当て、飛び上がる。


「いた……ドラゴン」


 目が青い、深い緑色のドラゴン。そのドラゴンは、こちらに気が付くと、一気に速度を上げ上へ上へと飛んでいく。


 俺はそれに負けじと風魔法で飛び上がるが……ドラゴンは一気に今度は下へと向かって、気配が消える。


「相手になるか、試しているのか」


 俺は魔法を一旦やめて、自由落下していきながら、気配を探っていると、大きな巨体からは考えられない速度で、後ろに回られていたらしく、しっぽが鞭のようにしなって迫ってきた。


 俺はそれを体を捻って空中で避けると、一発ドラゴンに蹴りを叩き込む。


 ドラゴンは一瞬、体制を崩すがすぐに、


「ガォォォゥゥゥ―――――」


 口に火球を作り飛ばしてくる。それを間一髪避けて、俺は魔法で炎の大剣を作る。


 体の中の魔力を練り上げ、ドラゴンに一瞬で近付くと、ドラゴンの首を狙い振る。


 ドラゴンが放った火球が地面で大爆発を起こすと同時に、ドラゴンの首を綺麗に切り落とした。

面白い、続きが読みたい、そう思った方ぜひブックマークそれと、

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