1.転生す
作者の海神です。本作もどうか、よろしくお願いします。
ここは……どこだ?なぜ俺はここに……確か……
「オギャー、オギャー」
ん?声が……おかしいぞ。
「オギャー、オギャー」
なぜだ?どうして泣き声になる?というか、体の感覚も変だ。上手く体を動かせない。目もぼやけて……少ししか見えない。俺は、一体……
「あらあら、ミーヤ。お腹が空いたのー?よしよし」
横から女性の声が聞こえてくる。優しくて、温かい声。柔らかい手で頭を触られて……体が勝手にその女性の何かを本能的に口に入れて吸う。そうして俺は、訳も分からぬまま抱きしめられ、意識が飛んだ。
◆
それから俺は目の前が暗くなっては、明るくなって、誰かに抱かれるか、何かを吸うか、泣き声をあげてゲップをするかなんかを繰り返す毎日が続いた。
そんな毎日の中で、色々と分かったことがある。まず、俺の名前は、ロッド・エリッド……だったはずなのだが変わり、今の名前は、ナレーガ・ミーヤ。
次に、俺を産んだ母親の名前が、ナレーガ・ナレル。父親の名前が、ナレーガ・マレット。
そして最後。
「今日で、何歳になったんでちゅか?」
「2ちゃい」
「よく言えましたねー。流石、私とマレットの可愛い娘!」
「偉いぞ。よしよし、ミーヤ」
俺はどうやら女らしく、今日で2歳。もう、しっかり立てるようになり、体も自由に動かせる。ただ、ちょっと父親である、マレットがうざい。
「いや!はなして!」
「そ、そんな……」
「あら、ミーヤ。だめでしょ?」
「いやいや!」
体に反して口はまだ少し思い通りに動かないので、はっきり言える言葉を使いながら、マレットから素早く離れる。撫で方が結構きつい……
「うぐぐ……ナレルばっかりに懐いて……俺のナレルだぞ!」
「ばーか!」
「あはは、でもだめよ、ミーヤ。謝りなさい」
「ふん……ゆるす」
まあ、母親に言われたのなら従うしかないだろう。それに今日は俺の誕生日だ。少しは優しくしよう。
◆
2歳になった誕生日の日から、なんやかんやで、7年が経った。俺はもう9歳だ。
「お誕生日おめでとう、ミーヤ」
「ありがとう、お母さん」
「大きくなったな……俺は嬉しい」
……なんでいちいち、抱きついてくるんだろうか?まあ、今日はいい。誕生日だから。
ここまでの9年で、体はだいぶ大きくなり、もう本当に思い通りに体が動かせる。
なので、次に練習するのは口調だ。体が女だから、俺とか言ってしまうと母親に結構怒られる。だから本当にここ2、3年は苦労した。今でも時々、俺と言ってしまい母親に怒られるが、それでも、頑張った方だと思う。
「ミーヤは、お母さんの方が好き」
「な、な……」
「あらあら、嬉しいわミーヤ」
中々に上出来だ。だが、口調を意識しないといけないなんて、だいぶ疲れる。それにこっちの相手も。
「何故だ、ミーヤ。確かにナレルは可愛いが……俺の方が好きだよな?嘘だよな?」
「しつこい。お母さんの方がいい」
「あはは、そうね。マレットはしつこい」
「ナ、ナレルまで……」
「でも、私は好きよ。そういう所」
「ナレル!」
はぁ……そういえばずっとラブラブだな、この夫婦。まあ、いい事ではあるが、今はやめてほしい。
「あらあら」
うっ……また抱きつかれた……
◆
誕生日の翌日。一人、ベッドから起き上がって伸びをする俺。
さてさて、9年生きてきて大体の事は分かった。だから、そろそろやりたい事をしよう。その為にはまず、今の状況を軽く纏めて整理しなければ。
最初は今、俺がいる国について。名前は、カタナマ王国。この王国は、聞く限り戦争を好まない平和な国らしく、これと言って何か課題がある国ではないらしい。
前世では来たことのない国ってこともあり、色々と調べたらこんな感じだった。
そして次に、俺の死後から今までで約100年が経っており、前生きていた世界と同じ世界だという事も本を読んで分かった。本には、約100年前に邪竜が死んだと書かれている。これは俺が殺した邪竜だ。
「この少し後に俺は死んだわけだが……やめるか」
終わったことは、あまり考えない方がいい。次だ次。
魔法に関しては、夜に家を抜け出して練習したかいあって、前世と変わりなく使える。剣術はもう少し練習が必要だ。だがそれでも、大体の事はもうできる。
今日の夜、ドラゴンを狩るのだ。ドラゴンは高値で取引される。お金を手に入れて、剣を買って冒険に出よう。
「ドラゴンを狩るのは夜。それまでは軽く体を鍛えて……」
そう俺が考え事をしていると、コンコンと扉がノックされる。
「朝食をお持ちしました」
「そうか……ありがとう」
「……?」
あっ……忘れていた。言葉はもっと優しく、柔らかく。
「ありがとう、メイドさん!」
「は、はい。それでは失礼します」
扉が閉まったのを確認して、ため息をこぼす。きっと完璧に女らしく喋れる事なんて死ぬまで出来ないだろうな……そう思いつつ、朝食を食べ始める。
そこそここの家は金持ちらしいので、メイドもいれば、朝昼晩しっかりご飯が食べれる。
あまり時間をかけずに朝食を食べ終わり、とりあえず本を読む。この後勉強を軽くして、ゴロゴロしていれば夜だ。
俺は片付けに来たメイドに言う言葉を決め、本を読み続ける。
数分後。扉が開き、メイドが入ってくる。
「いつもありがとう!」
「お気になさらず」
よし、完璧。
今日から俺は日常を変える。そう思うとわくわくする。今よりも楽しい日常になる、そんな予感がする。
「よし、やるか」
面白い、続きが読みたい、そう思った方ぜひブックマークそれと、
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