第一章 03 卒業
それから2年が経ち、僕らは卒業式を迎える。
式典が終わり、教室では別れを惜しむように、最後の時を迎えていた。
僕が教室で数人の友達と話をしていると、廊下には絢音の姿があった。
キョロキョロと周りを見回し、誰かを探してる。
彼女は大事そうに卒業アルバムを抱えていた。
僕は、気にせず友達と話をしていたが、絢音がこっちに近づいてきたのだ。
「蓮!これにメッセージ書いて!」
ヒューヒューとクラスのみんなが僕らを冷やかした。
「ラーブラブ♪ラーブラブ♪」
と掛け声がかかる。
「蓮はやっぱり絢音ちゃんだよな~。」
「二人は学校一のお似合いカップルですから~。」
ムードメーカーの純平と修が皆にさらに火をつけた。
「ほらほら!みんな騒ぐなって!俺たちは何でもないんだから。ただの友達、友達。」
「なぁ、絢音。」
と僕は、絢音の頭をトントンと優しくたたいた。
「うぉぉ~」
と男性陣が持ち上げる。
絢音は笑顔でみんなに指を指して言い張った。
「もちろんだよ!友達、友達!あったり前じゃんか~、みんな勘違いし過ぎだよ~。私たちがカップルなんてあ~り~え~ないし~。」
しっかり者の絢音はこれくらいのことは日常茶飯事だ。
ようやく騒ぎは収まり、何事もなかったかのようにいつもの教室に戻る。
「蓮、これ書いて。」
絢音が大事に持っていたアルバムを僕に渡した。
僕はアルバムを開くと、最後の白紙のページ開いた。
「はい。」
絢音は数本持ったペンの中から青色のペンを渡してきた。
僕が色の中で青色が好きということを絢音は知っていた。
「え~っと。」
こうゆうのは苦手だ。正直面倒だったし、普段なら断るけど最後だから仕方なく書いた。
絢音のバーカ! 蓮
「ほら、できたぞ。」
パッとアルバムを閉じて絢音には見せずに渡した。
「やったー、ありがとう!」
絢音はまんべんの笑みで喜んだ。
絢音も僕のアルバムにメッセージを書きたいと駄々をこねたが面倒だと言って断った。
少しだけ強がっていたのかもしれない。
最後の言葉はふざけていたわけじゃない。
これが最後になるんじゃないかと不安だったから。
このままの毎日がずっと続けばいいと思ったんだ。