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868回敬遠された月出里逢  作者: 夜半野椿
第四章 黄金時代
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第百四十九話 残酷すぎる痛み(3/?)

「1回の表、バニーズの攻撃。1番セカンド、徳田(とくだ)。背番号36」


「絶対打てやかおりん!」

「死んでも負けられへんぞ!」


 赤猫(あかねこ)さんのことで熱くなってるのは観客席も同じ。帝都まで足を運ぶくらいのバニーズファンなら納得っちゃ納得か。


「ピッチャーの足元抜けた!センター前!」

「2番センター、相模(さがみ)。背番号69」

「初球打ち!これも鋭い当たり、センター前!相模、赤猫の代役として早速結果を出しました!」


「「「ナイバッチ(くろ)たん!」」」


「3番サード、月出里(すだち)。背番号25」

「ボール!フォアボール!」

「これも外れました!いきなりノーアウト満塁!!」


「おっしゃあ!それでええぞ!!」

「やりゃできるやんけ!」

「あと2試合、点取りまくったれ!」


 ……3人ともいつも以上にバットが振れてる印象。


「4番レフト、十握(とつか)。背番号34」

「2勝3敗。帝国一に王手をかけられ、もう負けられないバニーズですが、いきなり先制のチャンス!打席には十握!」

(もちろん風刃(かざと)くんを勝たせてあげたいけど、今日はそれ以上に赤猫さんに報いるためにも……!)


 いつも通り表情は変えない……けど、熱さを隠しきれてない十握さん。ここまではそういうのが上手く働いてるように思える。

 だけど、どこまでいったって野球は点を取ってナンボ。そしてもちろん、こんな嫌な予感なんて当たらなければその方がずっと良い。おれだって勝ちたいのは同じなんだから。


「!!逆方向、痛烈!」


「「「「「おおおおおおお!!!」」」」」






「アウト!」

「ああっと!サード真っ正面!!」

(やば……!)

「アウトォォォォォ!!!」

「三塁ランナー滑り込みましたが間に合いません!一気にツーアウト!!」


「「「「「ファッ!!?」」」」」


 あっちゃあ……


「5番ファースト、金剛(こんごう)。背番号55」

(くそッ、なら俺が……!)

「これも強い当たり!センターの前!!」

(よし!何としてでも先制するぞ!!)

(ういっす!俺の自慢の脚で……!)


 !!?この打球でサードコーチャーが腕を回した……


「センターバックホーム!」

(な……!?)

「アウトォォォォォ!!!」

「ホームタッチアウト!バニーズ先制ならず!」

「タイム!」

「ここで伊達(だて)監督が出てきて……リクエストです!早速リクエストを使いました!」


 伊達さんが今ので……?


「審判団すぐに戻ってきました!判定は変わらずアウト!」


「いやぁ、今のは流石になぁ……」

「いくら相模の脚でも真っ正面じゃなぁ」


 ……スイングの鋭さからくる打球の鋭さ。それが見事に裏目に。


「くそッ……!」


 一応ヒットを打って、まだ初回なのに、あの金剛さんが珍しく感情を露わに。


「…………」

「ふ、冬島(ふゆしま)さん!今日も頼んますね!」

「もちろんや。いつも通り抑えられるやんな?」

「ええ、まぁ……」


 いつも投手陣には自分から声をかけていく冬島さんなのに、珍しく口数が少ない。

 まぁストレスの溜まる攻撃にはなったけど、こんな拙攻は別に珍しいことじゃない。向こうも上手く守った結果。しょうがない。

 ……この球場の狭さで、打球自体はあれだけ景気良く飛んでるんだから、柵越えの1本くらいは出るはず。前の山口(やまぐち)さん以上のピッチングをするのが元々今日の目標だし、0に抑えれば何とかなる……よな?


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