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868回敬遠された月出里逢  作者: 夜半野椿
第四章 黄金時代
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第百四十七話 人を変える力(4/?)

「これは当てただけ!セカンド捕って……」

「アウト!」

「アウト!スリーアウトチェンジ!!山口(やまぐち)、何とこの4回までパーフェクトピッチング!!!」


「「「「「恵人(けいと)きゅん最高ー!!!」」」」」

「恵人きゅんprpr」

「ああ^〜エースコンビ最高なんじゃ^〜」


「でゅふふふ……チェンジアップも低めにビタビタ。パーフェクトも納得ですねぇ」

「ありがとうございます。有川(ありかわ)さんのリードのおかげですよ」

「いえいえ……ワタクシメ肩には自信がないですが、ランナーを出さなければフリーパスにもなりません。この調子でお願いしますよぉ」


 大学どころか高校にも行ってないおれにとっちゃますます馴染みのない球場だけど、マウンドには違和感なし。自分でもびっくりするくらい調子が良い。


「5回の表、バニーズの攻撃。6番ライト、天野(あまの)。背番号32」

「0-0、お互い無得点のままゲームは折り返し地点に入ります。この回の先頭打者はプロ9年目、天野千尋(あまのちひろ)。2016年シーズン途中でジェネラルズからバニーズへ移籍しました。今シーズンは開幕にこそ出遅れましたが13本塁打。パンチ力に加え、ファーストとライトの守備にも定評があります。昨日は9回から守備固めで出場しましたが、今日はスタメン出場。第1打席は空振りの三振」

「おそらく今日のバニーズ打線はバッテリー以外は対左意識でしょうね。ショートも宇井(うい)ではなく相沢(あいざわ)で……」

「引っ張った!痛烈な当たり、三遊間抜けてレフトの前!」


「ええぞチッヒ!」

「この回こそ先制や!」


 打線も特別調子が悪いわけじゃない……はず。


「7番ショート、相沢(あいざわ)。背番号3」

「ノーアウト一塁、先頭打者が出塁して続くバッターは同じくプロ9年目の相沢涼(あいざわりょう)。2019年シーズン前に難病を患って以降出場機会が減ってしまいましたが、レギュラーショートとしての能力は健在。走攻守三拍子揃った名手です」


 元々2番を打つことが多かった相沢さん。バントさせる人もいるだろうけど……


(次のバッターは有川くん。さらにその次はピッチャーの恵人くん。何より対左を期待しての相沢くん。ここでの繋ぎは本末転倒)


 伊達(だて)さんは堅実そうなイメージがあるけど、意外とバントはあんまりせさせない派。今年のバニーズはバントの数がリーグで一番少ない。まぁ月出里(すだち)さんと十握(とつか)さん2人だけが極端に打ちまくったとは言え、平均値ベースではリーグで一番強力な打線だしね。


「これもセンター右、落ちましたヒット!2連打でノーアウト一塁二塁!!」


「よっしゃ!采配ドンピシャ!!」

「いける!先制あるで!!」


「8番キャッチャー、有川(ありかわ)。背番号0」

「バニーズ、先制のチャンスで打席にはプロ6年目、有川理世(ありかわりせ)。キャッチャーながら俊足に加え、内外野も平均以上に守れる守備力、そして小技を武器に早くから一軍に定着。今シーズンは守備の面では本業での起用が多く、代走としても5つの盗塁を決めております」


(有川くんは正直ベースの打撃成績が1割台で打席自体も少ないからどのみち誤差の範疇だけど、一応左相手の方が期待値が高いんだよね)

(左だとTA■■U■AWA狙いが狙いやすいですしねぇ。次が恵人ちゃんであっても、ノーアウト満塁で繋げられると大きいですし、隙があれば狙っていきたいですねぇ……)


 ここもバントなし。まぁ次おれだしね。


「ストライーク!」

「外!スライダー決まってツーストライクと追い込まれました!」

(ただ、無失点が続いてるということは、向こうも調子が良いってことなんですよねぇ。正直あまりコントロールの良くないタイプのピッチャーのはずなんですが、今日はまっすぐが走ってるだけじゃなくこのスライダーが厄介……)

「打ち上げた!これはセンター定位置付近……」

「アウト!」

「捕りました!これでようやくワンナウト!」


「うーん、結局打たせたかぁ……」

「有川ァやしやっぱバントで良かったんちゃう?」

「ゴロでも1点狙える状況になるしなぁ」


「スミマセン……」

「いえ、大丈夫ですよ」


 ……根拠のある判断でも、いざやって失敗すれば誰かが文句の一つくらい飛ばす。しょうがないこと。

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