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868回敬遠された月出里逢  作者: 夜半野椿
第四章 黄金時代
885/1134

第百三十七話 やっぱお前にゃ敵わねぇ(3/?)

******視点:伊達郁雄(だていくお)******


 取ってくれた……!2点以上……!!


「4番指名打者、オクスプリング。背番号54」


 今日の試合に関しては1点と2点の差は本当に大きい。氷室(ひむろ)くんのあの投球スタイルは、まとまった失点は起こりにくいものの、ソロムラン1本は覚悟すべきもの。その1本があっても勝てるラインに到達したということは……


「インコース!やや詰まりましたがセンターの前、落ちましたヒット!」


「「「「「おおおおおっっっ!!!」」」」」

「ええぞええぞリリィ!」

「流れ来てるぞ!」


 これまでにあった打線の閉塞感。解消の兆しが見えてきた。


「5番レフト、金剛(こんごう)。背番号55」


「続け続け金剛!」

「デッカく打ってトドメや!」


 でももちろん、なるべくならもう少し点が欲しい。正直、実力だけで言えば上位打線は打てるのはわかってるからね。十握(とつか)くんが離脱して頭数が足りない今、問題なのは下位打線……


「引っ張った!しかしこれはセカンド正面!!」


「「「「「ほげぇぇぇぇぇ!!?」」」」」


「二塁へトス!」

「アウト!」

「一塁へ……」

「アウト!」

「これもアウト!ダブルプレー!!」


「何やっとんねん、せっかく流れ来てたのに……」

「若手の上位打線がせっかくようやったのに……」

「やっぱ暗黒組は……」


(ッ……!!!)


 心無い言葉で、奥歯を噛み締めながらベンチへ戻る金剛くん。

 こういう時によく『打順が逆だったら』なんてことを言う人がいるけど、物事はそんなに単純じゃない。結局のところ、打撃の結果を決めるのは打者の実力だけじゃないからね。この回のリリィくんも金剛くんも同じ左打席に立ってたし、例えば打順が逆なら金剛くんがセンター前、リリィくんがゲッツーという結果も十分にありえた。

 それでも結果は残酷なもの。周りが勝手に過程や理由を後付けする。結果だけを競う以上、その結果が出せなかった者が責められるのは道理ではあるんだけどね……


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 2-0のまま、7回の裏の攻撃。


「ストライク!バッターアウト!!」

「三振ッ!秋崎(あきざき)、今日これで3つ目の三振ッ!!」


「うーんこの」

「何やっとんねん!?そのチチは飾りか!!?」

「おっぱいは関係ないやろ!」


(うう……)


 やはりここ最近のチームの悪い流れとかに関係なく、下位打線が課題であることに変わりはないね。

 特に秋崎くん。今年一軍でスタメン出場が増えたけど、ここにきてちょっと疲れが見え始めてる。一軍定着1年目。毎日の過ごし方の勝手とかがわからなくて、必要以上に負担がかかってるのも確か。来年になればきっとマシになるだろうけど、今年はとりあえずCSは確定で、まだまだ試合が残ってる。代わりの相模(さがみ)くんも、9月に入ってからバッティングが不調。


 ……別にさっきの金剛くんのことは関係ないけど、"彼女"を呼ぶべきかな?金剛くんのことは関係ないけど。


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