表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
868回敬遠された月出里逢  作者: 夜半野椿
第四章 黄金時代
785/1123

第百二十二話 揺らぎ(1/6)

--------------------------------------------------

 ○天王寺三条(てんのうじさんじょう)バニーズ

 監督:伊達郁雄(だていくお)


 1二 徳田火織(とくだかおり)[右左]

 2指 リリィ・オクスプリング[右両]

 3左 十握三四郎(とつかさんしろう)[右左]

 4三 月出里逢(すだちあい)[右右]

 5一 金剛丁一(こんごうていいち)[左左]

 6中 秋崎佳子(あきざきよしこ)[右右]

 7右 天野千尋(あまのちひろ)[右右]

 8遊 宇井朱美(ういあけみ)[右左]

 9捕 冬島幸貴(ふゆしまこうき)[右右]


 投 烏丸邦夫(からすまくにお)[左左]



 ●瀬戸内杜橋(せとうちもりはし)スティングレイ

 監督:■■■■


 [先発]

 1二 千石忍(せんごくしのぶ)[右右]

 2左 ■■■■[右右]

 3中 坂本麟太郎(さかもとりんたろう)[右左]

 4右 綿津見昴(わだつみすばる)[右右]

 5指 羽田敦子(はねだあつこ)[右右]

 6捕 桜田昌幸(さくらだまさゆき)[右左]

 7三 増田義邦(ますだよしくに)[右右]

 8一 ■■■■[右右]

 9遊 手島留佳(てじまるか)[右左]


 投 椎葉健一(しいばけんいち)[右右]


--------------------------------------------------




******視点:伊達郁雄(だていくお)******


「1回の表、スティングレイの攻撃。1番セカンド、千石(せんごく)。背番号33」


(しのぶ)!ニンニンかましたれ!」

「交流戦最下位だけは阻止じゃ!」


 向こうが最初に打席に送り出したのは、ヘルメットの下に頭巾を被ってて、この時期なのに分厚い首巻き。目がパッチリで口が大きく、ほっぺたに渦巻き模様の小柄な女性。誰がどう見ても"忍者キャラ"とわかる見た目。

 千石忍(せんごくしのぶ)。ペンギンズの鉄炮塚(てっぽうづか)くんやウッドペッカーズの琴張(ことはり)くんに並ぶ、現役トップクラスのセカンド。3年前までのスティングレイ三連覇に貢献した主力メンバーの1人。


「ピッチャーの前、転がった!ファーストへ……」

「アウト!」

「アウト!まずはワンナウト!」


「えぇ……」

「追い込まれてないのに何やねんその当てただけ……」


 千石くんはとりあえず打つ方に関しては『圧倒的』というわけではない。数値上では『セカンドにしては打てる』くらいのレベルで、成績も毎年波が大きい。こうやって簡単に打ち取れることも珍しくない。


「ここはピッチャー、いや、ファーストが見上げて……」

「アウト!」

「捕りました!これでツーアウト!」


「ええでええで烏丸(からすま)!」

「4連勝かかっとるんや!気張ってけ!」


 今年のスティングレイ打線は正直、全体的な得点力はあまり高くない。


「3番センター、坂本(さかもと)。背番号63」


 ただ、3番4番だけは要警戒。


「ツーアウトランナーなしで打席には坂本。毎年3割前後を残すアベレージヒッター。今シーズンはここまで.251とあまり奮いません」


 ……『現状低迷しているアベレージヒッター』。ある意味怖い存在だよね。それはつまり『いつ上振れしてもおかしくない爆弾』ってことなんだから。


「インコース引っ張って!」

(な……!?)

(嘘だろ、あんな身体に近い球……)


 ほら見たことか……!


「一二塁間……セカンド飛びついた!」

「「「「「おおおおおっっっ!!!」」」」」


 !!!


「ファースト!」

「アウト!」

「送球間に合いました!徳田(とくだ)、ファインプレー!」


(むぅ……若いのが羨ましいでござる)


「スリーアウトチェンジ!」


 さすが徳田くん。向こうに千石くんありでも、こっちも徳田くんあり。実績はともかく、現状の実力じゃきっと引けを取らない。


「1回の裏、バニーズの攻撃。1番セカンド、徳田。背番号36」


「かおりん!打つ方も頼むで!」

「スコーンとでかいのかましたれ!」


 烏丸くんの立ち上がりも良かったし、一応、ここ最近のウチの打線も月出里(すだち)くんが絶好調なのもあって上向き。


「今日のスティングレイの先発はドラフト1位ルーキーの椎葉(しいば)。ここまで3勝3敗、防御率1.84。すでにプロ初完封勝利も達成している、期待のエース候補です」


 ただ、初見でしかも単純に力量のある投手が相手。バックの守備力との兼ね合いもあるし、この試合がどう転ぶかはまだ未知数。


「ストライク!バッターアウト!」


「うげっ、何やあのカーブ……」

「めっちゃ曲がったで……」


 向こうの椎葉くんは今時の右投手としては珍しく、スライダーとフォークをほぼほぼ投げない。けど、平均140後半のまっすぐに得意のカットボール、そして縦のカーブにチェンジアップと2種類の緩い球を制球よく投げ分ける。流行りなんかに囚われる必要のない、純粋に力のある投手。


「2番指名打者、オクスプリング。背番号54」

(とりあえず緩い球からインハイ抉られるのは警戒。叩くなら外の球……!)

「ストレート打った!高いバウンド!」

(打ち損じた……でもこれなら!)

「セーフ!」

「一塁セーフ!間に合いました!」


「十分十分!」

「ナイスランリリィ!」


「3番レフト、十握(とつか)。背番号34」


 リリィくんは基本的に打つのがメインだけど、脚もある。上位打線ならどこに置いても困らない。


「引っ張ってセカンド捕った!」

「ファースト!」

「アウト!」

「一塁アウト!しかしこの間に一塁ランナーは二塁へ!」


「ナイス最低限!」

「うーん、抜けんかったか……」


 十握くんも器用なバッターではあるけど、基本は引っ張り屋。こういうお膳立ても最低限やってくれる。


「4番サード、月出里(すだち)。背番号25」


 ここまでは概ね想定通りに打線が機能してる。後は"トリ"が仕事をしてくれるか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ