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868回敬遠された月出里逢  作者: 夜半野椿
第四章 黄金時代
779/1164

第百二十話 転機(8/9)

******視点:金剛丁一(こんごうていいち)******


「2回の裏、バニーズの攻撃。8番ショート、宇井(うい)。背番号24」


 2回は敷島(しきしま)が抑えて、4-2のまま。


((あい)さんよりも自分を応援してくれる人がきっといるって言うのなら……!)

「!!!ライト下がって……入りましたホームラン!!第3号!」

「「「「「おっしゃあああああ!!!!!」」」」」


 ……やはり、宇井にも響いたみたいだな。アイツの言葉が。


(クソッ、抜ケチマッタ……!)

「ホームイン!4-3!バニーズ、この回もペンギンズを追い上げます!」


「「「ナイバッチ!!!」」」

「サンキューっす!」


 ベンチの盛り上がりもいつも以上。だが……


「うーん、もう1人先にこれが出てたら……」

「追いつかない程度の反撃とかにならんよな?」

「みつをの調子考えたらなぁ……」


 まだ逆転どころか、追いつけたわけでもない。ペンギンズにも、そして……


「…………」


 あそこで拳を縦に並べて薄目でじっとしてる月出里(アイツ)にもな。


 ・

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 ・

 ・


 だから俺もやるしかない。


「!!!引っ張って……ライト下がって、下がって……!入りましたホームラン!!金剛(こんごう)、第6号、逆転ツーランホームラン!!!」


「「「「「おおおおおおお!!!!!」」」」」

「やりゃできるやんけ!」

「今日で連敗脱出や!」


「金剛さん!」

「ナイバッチです!」

「いけるぞいけるぞ!」


 ベンチ前でハイタッチを重ねて、最後は控えめに手を挙げてる月出里の番。


「月出里」

「はい」

「打率辺りは勝たせてもらうからな?」

「……負けませんよ」


 そう言いつつも、無表情が少し綻ぶ。


 ・

 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


 4回に逆転を果たし、敷島(しきしま)も初回の4失点だけでどうにか5回までは乗り切ってくれた。

 ……が、勝負はそううまくはいかんな。


「左中間……これも抜けました!」

「セーフ!」

「三塁ランナーホームイン!」

「セーフ!」

「二塁ランナーもホームイン!打った小林(こばやし)も二塁へ!!走者一掃、逆転タイムリーツーベース!!!」


 7回。継投で出てきた牛山(うしやま)が捕まって6-5。


怜治(れいじ)!ナイバッチ!!」

「ナイス引っ張り!」

「それでこそ"一流"や!」


「バニーズ、選手の交代をお知らせします。ピッチャー、牛山に代わりまして、鎌ヶ(かまがや)。ピッチャー、鎌ヶ谷。背番号30」

「ここでピッチャー交代、マウンドには鎌ヶ谷が向かいます。今シーズンはリリーフとしての登板が続いております。先日のシャークス戦では自己最速の158km/hを記録しました」


「火消し頼むで!」

「うーん、最初から鎌ヶ谷で良かったんちゃうか?」

「実績は牛山の方が上やろうけど……」


「2番キャッチャー、小池(こいけ)。背番号27」


 幸い、もうツーアウトではある。向こうの上位打線は怖いが、ここで何とか……


「ああっと!キャッチャー捕れません!!」


「「「「「ファッ!?」」」」」


「セーフ!」

「二塁ランナー三塁へ!記録はワイルドピッチ!!」


「まーた暴れ馬が出たよ(呆れ)」

「ちゃんとストライク入れられたらリリーフどころかエースになれるのに……」


 鎌ヶ谷はウチでも屈指の速球派で、先発でもそこそこやれてたんだが、この制球がな……


「引っ張って、三遊間……ああっと!ショート弾いた!!」


「「「「「ほげぇぇぇぇぇ!!!!!」」」」」


「セーフ!」

「三塁ランナーホームイン!」

「セーフ!」

「一塁もセーフ!記録はショートのエラー!7-5!」


(((((オワタ……)))))


 こんな時に守備のミスが重なってしまったか……


(やっちゃったっす……)


 項垂(うなだ)れる宇井(うい)の下に、月出里が駆け寄る。


朱美(あけみ)ちゃん」

(あい)さん……」

「さっきの朱美ちゃんの一発、あたしも無駄にしないから」

「ッ……!は、はい!」


「ドンマイドンマイ!」

「ツーアウトツーアウト!」

「まだやれるで!しまってけ!!」


 ベンチからも冬島(ふゆしま)相模(さがみ)、リリィからの声援。


「ボール!フォアボール!!」


「うげぇぇぇ……」

「よりによってここ歩かせたか……」


「4番サード、猪戸(ししど)。背番号55」


 まだ2点差……だが、ランナー2人抱えて猪戸(ヤツ)か。ここが正念場だな……


「バニーズ、選手の交代をお知らせします。ピッチャー、鎌ヶ谷に代わりまして、夏樹(なつき)。ピッチャー、夏樹。背番号27」


「巫女ちゃん!あと1つ頼むで!」

「いやぁ、もうどうにもならんやろ……」


(2年ぶりの再会だな、猪戸)

(夏樹んことやけん俺に合わせて調整してきとるはず。ばってん、今日こそ仕留める……!)


 今年のウチのリリーフは左がかなり揃ってる。夏樹は調整次第で右相手でも十分やれる。その上でここで夏樹ということは、伊達(だて)さんとしてもここで確実に切ろうという考えなのだろう。


(……!しまった!!)

(甘い!)

「!!!センター大きい!」


(((((アカン)))))


 ……が、何もかも机上の計算通りにはいかないものだな。こんな時にあまりない夏樹の失投。流石に今日はここまでか……






(させない……!)

「!!!フェンス際、センター跳んで……捕った!捕りました!!」

「アウトォォォォォ!!!」


 !!!


「「「「「……!!!よっしゃあああああ!!」」」」」

秋崎(あきざき)、ビッグプレー!!!」

「「「「「おっぱい!おっぱい!おっぱい!おっぱい!」」」」」

(そのコールはやめて……)


「これでスリーアウトチェンジ!しかしこの回、ペンギンズ3点追加で逆転!!」


「ナイピー神楽(かぐら)ちゃん!」

佳子(よしこ)!愛してるぞチクショー!!」


 ……秋崎にも月出里(アイツ)の言葉が響いてたようだな。俺としたことがまた……


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― 新着の感想 ―
長く書きやすい鬱シーンより、書きづらい成功シーンが読みたいです。
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