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868回敬遠された月出里逢  作者: 夜半野椿
第三章 オーバーダイブ
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第百二話 敷居(3/7)

 ……うーん。


「3番指名打者、オクスプリング。背番号54」

「5回の表、1-0。ツーアウトから徳田(とくだ)がヒットで出塁。打席には第一打席でツーベースを放ってます、オクスプリング。同点のランナーを返せるか……」


 あっくんは初回に亀甲(きっこう)さんのソロムランでいきなり先制を許しちゃったけど、それ以降はほぼパーフェクトな内容。

 逆にこっちは2回以外は毎回ランナーを1人か2人出せてるのに、打線がなかなか繋がらず。


「一塁ランナースタート!」

「セーフ!」

「盗塁成功!」


「流石やかおりん!」

「この回こそ追いつくで!」


(やりますね……ちゃんと警戒はしてたんですが……)

(上手になりましたねぇ〜火織(かおり)ちゃん)


 ふとセンターを見ると、呑気に手を振る愛生(あき)さん。高校の頃からほんとマイペースな人。

 ……お膳立てはしたんだから、お願いねリリィちゃん。


「ピッチャーの足元!」

「ウェヒッ……!」

「しかし捕った!」

「アウト!」

「一塁に送ってスリーアウトチェンジ!鹿籠(こごもり)、この回も粘りのピッチングで0に留めました!」


「ナイピー(あおい)姉貴!」


「あのでかい子もなかなか可愛いな」

「ちょうちょと同い年の子らしいぞ」

「何でもプロ入ってすぐは野手だったとか……」


「良い反応でしたよ、鹿籠さん」

「ウェヒヒヒ……ず、ずっとサードもやってたから……かもです……」


 困った……早いとこ追いついて最悪負けだけでも消したいのに……


「5回の裏、アルバトロスの攻撃。9番キャッチャー、斎藤(さいとう)。背番号32」

(この回も頼むぞ)

(はい)


「ボール!」

「ストライーク!」

「ストライーク!」

「ファール!」

「ファール!」


 ここまで向こうの打線はヒットもあんまり打ててないけど、代わりにひたすら球数を稼いでくる。待ち球なのは前からだけど……


「ストライク!バッターアウト!」

「落としました!空振り三振!これで今日7つ目!」


氷室(ひむろ)くん!今日も最高よ!」

「そんなせこい攻撃に負けないで!」

「頑張れ頑張れ篤斗(あつと)くん!」


 フォークP相手に待ち球してるから確かに三振は稼げてるんだけどね……でもこの打席でも7球投げることになってしまった。


「ナイスだ。それで良い」

「ありがとうございます!」


 このペースでいけばあっくんはうまくいっても次の回……下手をするとこの回まで……


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「……アウト!」

「ファースト捕ってスリーアウトチェンジ!バニーズ、この回も得点できず!」


「おいィ!ええ加減点取れや!」

「1点やぞ1点!ホームラン1本やろうが!」

「シングルと四球ばっかで、どんだけヒョロガリやねん!」


 6回もランナー2人出たけど、点が入らず。

 今日のスタメンでホームランを狙えるのはクリーンナップの3人くらいだけど、ゴリゴリの一発狙いは千尋(ちひろ)さんくらい。でもあの外に逃げる球とスライダーが良い感じに決まってて封じられてるし、リリィちゃんはそこそこ打ててるけど角度が付かない。

 そして三四郎くんは露骨に勝負を避けられてる。おかげで四球2つではあるけど、前後がいまいち繋がらない。

 今日はただでさえ(あい)ちゃんに頼れないから、余計にウチの貧打を痛感する。


「氷室くん、球数100近づいてきたけど、いけるかな……?」

「もちろんです!最後まで投げさせてください!」


 ……次の回はアタシにも打順が回る。早く点を取らないと……


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