第百一話 影はいつまでも落ち続ける(2/5)
******視点:月出里勝******
8月7日。今日は金曜日で、あまり仕事を来週に持ち越したくないから少しだけ残業して帰宅。
「ただいま」
「おかえりなさい。ご飯にする?お風呂にする?それとも……」
「……子供達が揃ってるんだから後にしなさい」
「ちぇーっ……」
先に定時で帰ってきた牡丹の出迎え。玄関先なのにわざとらしく胸元を緩めてしなだれかかってくるのを制してリビングへ。
「あ、おかえり」
「おかえりなさい」
「おかえり!」
3人揃ってテレビゲームに興じる子供達。
純は今年受験生、結は今年から中学生、そして逢はオリンピックを終えて大阪に戻る前に一度こっちに足を運んでくれた。純も来年から大学の近くに下宿になるかもしれないし、こうやって家族5人で集まる機会はどんどん減っていくんだろうな……
「すぐご飯にする?」
「ああ、頼む」
結があとは火を通すだけってとこまで作っておいた主菜を仕上げて、残りの4人で作り置きの副菜をテーブルに並べたりして食卓の準備。
「お姉ちゃん、明日には大阪に戻るんだよね?」
「うん。エキシビション出れなかった分、練習して感覚取り戻さないとね」
「あ、そう言えば逢。こんなの届いてたぞ」
「ん?」
帰りにポストを確認したら入ってた封筒を逢に渡すと、箸を置いてまず宛名を眺める。
「ッ!」
「ね、ねーちゃん……?」
逢が途端に顔をしかめて殺気を立たせる。
「穏やかじゃないわねぇ……どちら様から?」
「……中学の同級生」
なるほど、そういうことか……
中の手紙を軽く見ただけで、封筒ごと両手で包んで丸める。逢の握力だからえらく小さくまとまったそれをそのままゴミ箱に投げ捨てた。
「悪いな、食事時に」
「良いよ、別に」
逢があんな大舞台で活躍したのは親としても鼻が高いが、これもまたその弊害か……
俺と違ってテレビには愛されてるみたいだが、逢には逢で別の厄介があるみたいだな。
「ところで、今日ウチの職場に新しい人が入ってきたんだけどな」
「へぇ、どんな人?」
「滋賀から来た人でな……」
なるべく自然に会話を逸らして、食卓の平穏を取り戻す。
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【バニキ・バネキの集い】天王寺三条バニーズ総合スレ31【2020】
81 : 風吹けばちょうちょ [] :2020/08/08 (土)
メガネ、ローテから外れるらしいわね
ttps://www.mesugakisports.com/baseball/f-bb-tp0-20200808-931598.html
82 : 風吹けばちょうちょ [] :2020/08/08 (土)
まぁしゃーない
オリンピック直前くらいには
明らかにスピード落ちてたしな
83 : 風吹けばちょうちょ [] :2020/08/08 (土)
やっぱメガネはリリーフの方がええと思うけど
根本的にシーズン完走するだけの体力がまだないわね
出力はマジでバニでもトップクラスやけど
84 : 風吹けばちょうちょ [] :2020/08/08 (土)
>>83
あんまり言われてへんけどちょうちょと
メガネの差って才能とかよりも体力やんな
あのフィジカルを毎年維持できるの化け物すぎる
85 : 風吹けばちょうちょ [] :2020/08/08 (土)
巫女ちゃんは出力がそこまでないのと
去年からリリーフやってきたからか
かなり小慣れてきた感があるな
役割が違うから比較はしづらいけど
それでもここ最近はメガネより
巫女ちゃんの方が信頼できる
86 : 風吹けばちょうちょ [] :2020/08/08 (土)
ローテの穴埋め誰が入るんやろ?
風刃を先発に戻すんか?
87 : 風吹けばちょうちょ [] :2020/08/08 (土)
>>86
もうあと40試合切ってるし
ブルペンデー挟んで誤魔化すか
あるいは恵人きゅんを上げるかちゃう?
88 : 風吹けばちょうちょ [] :2020/08/08 (土)
>>87
恵人きゅんエキシビション見た感じかなり良かったな
フォームがだいぶ変わってるけど
風刃みたいな変な感じではない
89 : 風吹けばちょうちょ [] :2020/08/08 (土)
風刃はあのフォームでも球威落ちてへんし
最近は制球も安定してるしあれはあれでええわ
90 : 風吹けばちょうちょ [] :2020/08/08 (土)
正直優勝はもうほぼないし投手陣はええわ
問題は打線やろ
ちょうちょと346以外ショボすぎる
91 : 風吹けばちょうちょ [] :2020/08/08 (土)
>>90
打率とかはともかくホームランがなぁ
ちょうちょも相変わらず全く打たんし
346金剛リリィチッヒ助っ人組でも
二桁いくかいかないかくらいやし
他があまりにもヒョロガリすぎる
92 : 風吹けばちょうちょ [] :2020/08/08 (土)
>>91
そういう意味でも佳子ママ
もっと使っていったらええねん
ちょうちょがエグすぎるだけで
佳子ママも相当できる子やで
あの肩とパワーはロマンありすぎや
93 : 風吹けばちょうちょ [] :2020/08/08 (土)
しかしちょうちょはビッグになったな……
最初はいつもの顔だけ枠やったのに
今やバニーズどころか今年の帝国代表の顔やで
94 : 風吹けばちょうちょ [] :2020/08/08 (土)
>>93
シーズンでも現状首位打者で盗塁王も
ほぼ確定やし今年中に年俸億いくかもな
高卒3年目で3000万とか相当な高給取りやけど
今年の活躍考えたら安すぎる
95 : 風吹けばちょうちょ [] :2020/08/08 (土)
ああ^〜ちょうちょに養われたいんじゃ^〜
96 : 風吹けばちょうちょ [] :2020/08/08 (土)
>>95
そもそもあの塩対応娘が男に興味あるのか……
結婚とかも興味なさそう
97 : 風吹けばちょうちょ [] :2020/08/08 (土)
>>96
一応子供は普通に好きみたいやで
去年のオフに閑たその少年野球教室手伝って
結構ノリノリやったらしいし
98 : 風吹けばちょうちょ [] :2020/08/08 (土)
まぁあの見た目と稼ぎなら男なんて選び放題やし
もし選ばれたら人生イージーモードやろうな
99 : 風吹けばちょうちょ [] :2020/08/08 (土)
もしもう男おったら今頃ウハウハやろうな
女の稼ぎだけで何も苦労せんのやろうし
同じ男としては全く尊敬できんけど
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******視点:月出里逢******
8月8日。昨日は実家で泊まって、朝一番で優輝のところに直行。
着いてすぐ、この前の消化不良だった分を少し取り戻した。今はお互いベッドの上で、時々お互いの身体を触れ合いながら、下着だけでまったりと過ごしてる。
「…………」
「何見てるの?」
「うぇっ!?い、いや、えっと……ネットの掲示板……」
「ふぅん……」
優輝がスマホをいじってるところを後ろから覗き込もうとすると、慌てて隠した。どうしちゃったんだろ……?
まぁ良いか。それよりも……
「優輝」
「ん?」
「おかわり」
「う、うん……」
座ってる優輝を下から覗き込みながら、元気を取り戻すよう下着越しにまさぐる。
だいぶご無沙汰だったからね。あの程度じゃ物足りない。シーズン再開したらまた平日はほとんど2人の時間が取れないんだし、今のうちにたっぷりと搾り取っておきたい。
「逢……!」
「……?」
身体はすっかりその気になってくれたけど、心なしかさっきまでより何か心ここにあらずって感じ。優輝の方も何だかんだで溜まってたのか、さっきは相当あたしにがっついてきたのに……
「あッ……!」
まぁそれでもあたしは満足できるから良いんだけどね。こうやって好みの男があたしに尽くして、命を搾り出してくれる実感さえあれば、頭の中もお腹の奥底も満たされる。本当はもっと直にお腹の奥底で味わいたいけど、今はまだ我慢。優輝にも申し訳ないけどね。
……昨日、久々にあのクソ女の名前見てまだムシャクシャしてるし、こうやってひたすら気持ち良くして忘れさせてほしい。家族との時間ももちろん良いけど、やっぱり男としなきゃ摂れない養分はあるよね。
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