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第九十三話　ゼロベースからの構築(1/4)

******視点：月出里逢(すだちあい)******

　8回の裏。点差は3-2のままだから、順調にいけばこの回が最後の攻撃になる。

「レフトの頭上超えた！」

「「「「「っしゃあああああ！！！！！」」」」」

「二塁ランナーホームイン！そして一塁ランナーも三塁蹴った！」

("左ダメダメ野郎"の汚名は返上できなくても、走塁(こっち)の役割はやってやらぁ！)

「セーフ！！！」

「相模(さがみ)もホームイン！5-2！！6回に代打から途中出場の秋崎(あきざき)、2打席目で大仕事！走者一掃のタイムリーツーベース！！！」

「おっぱいちゃん最高や！」

「これは将来のセンターレギュラーですわ(確信)」

「ちょうちょに人気だけやなくて実力でも勝ったれ！！」

　9回に投げる投手に程よくセーブが付く追加点。終盤リードしてる状況では理想的な展開。

　……あたしがさっきやりたかったそのままのこと。天野(あまの)さんも佳子(よしこ)ちゃんも、あたしに自慢するのは胸部だけにしてほしい。人気はどうでもいいから。

「1番キャッチャー、竹本(たけもと)。背番号48」

　ちなみにアウトカウントは1つで、ランナーは佳子ちゃんが二塁に。つまり、もう1打席ギリギリ回ってくる可能性がある。

「打ち上げた！」

「アウト！」

「うーんこの」

「まぁサラマンダーズの頃からこんな感じやし」

「二番手三番手捕手としてなら普通にええんやけどなぁ」

　言っちゃ悪いけど、これは計算の内。

「2番セカンド、徳田(とくだ)。背番号36」

「かおりーん！空気読まずに打ってええんやぞ！」

「今年こそ3割チャレンジや！」

　西園寺(さいおんじ)さん相手には打ちあぐねてたけど、元々ここ最近の調子は悪くない火織さん。一塁が空いてるからボール先行になって目ざとく歩く可能性もあるし、ホームランもまずない。つまり、ランナーありであたしに回ってくる可能性が高い。

　そしてそれはつまり、すみちゃんに良いとこが見せられるチャンスがもう一度巡ってくるかもってこと。

「引っ張った！セカンド……抜けました！」

「「「「「おおっ！！！！！」」」」」

　よし、狙い通り……！

(秋崎！ここはお前の脚をアピールだ！！)

(……！はい！！)

　！？サードコーチャーが腕を回した……

「二塁ランナー三塁蹴った！」

「させるか……！」

「……セェェェェェフ！！！」

「「「「「おおおおお！！！」」」」」

「二塁ランナーホームイン！この間に徳田は二塁へ！！」

　良かった……火織さんも二塁に行ったし、これならあたしも十分……！？

「おっと、ここで八汐(やしお)監督が出てきて……リクエストです！」

「往生際悪いで！」

「ちょうちょの打席見せろや！」

「3点差も4点差も誤差やろ！」

　そっか、それがあった……

「今審判が出てきて……」

「アウト！」

「アウトです！判定覆りました！！秋崎、ホームタッチアウトでスリーアウト！！！」

「なお、まにあわんかったもよう(白目)」

「今年こういうの多いなぁ……」

「いくら走れる奴は揃ってるって言ってもなぁ……」

「西科(にしな)！ナイスタッチ！！」

「おっぱいちゃんにタッチできるとか羨ましすぎる(クソノンケ)」

「ああ、やっちゃった……すみません……」

「ドンマイドンマイ！」

「あれは向こうの守備が良かったわ」

　……ほんと、天野さんと佳子ちゃんは……

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【バニキ・バネキの集い】天王寺三条バニーズ総合スレ11【2020】

　13　：風吹けばちょうちょ [] ：2020/05/05 (火)