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868回敬遠された月出里逢  作者: 夜半野椿
第二章 背番号25
454/1155

第七十二話 栄光も浮気者(1/9)

******視点:伊達郁雄(だていくお)******


『体調は大丈夫ですか?コーチ補佐も今やってるんですよね?』

冬島(ふゆしま)くんも戻ってきてくれたし、楽をさせてもらってるよ。そっちはどうだい?』

『こっちでしばらく先発をやって、大丈夫そうならシーズン終盤に上がれるかもです』

『そうか(^^)楽しみにしてるよb』


 7月24日。エペタムズとの2戦目、その試合前。試合前練習の合間に恵人(けいと)くんとのメッセージ交換。恵人くんも順調そうだね。

 ……正直、今年は選手にも首脳陣にも離脱者続出で、今の順位もそこまで絶望的なゲーム差はないとはいえ最下位。優勝どころか最低目標のAクラス浮上も怪しい状況。奇しくも、僕と恵人くんの約束を果たすにはうってつけの状況とも言える。


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「1回の裏、バニーズの攻撃。1番サード、月出里(すだち)。背番号52」


「ちょうちょ!ちょうちょ!」

「昨日の分取り返せよ!」

「あんなもんマグレじゃ!」


 やっぱり今日も月出里くんが1番。確かに昨日はノーヒットだったけど、あれはもはやヒットを4本丸ごと損したような内容だった。ファンの言う通り、マグレであって欲しいけど、あれはおそらく……


(昨日の試合……観直してみたけど、相手の守備の一歩目がいくら何でも早すぎた。なら逆に……!)


「スライダー打って……」


 昨日と同じく、右方向への打撃を察知してたかのように、ファーストとセカンドが一瞬、一塁寄りにステップ。しかし、打球の方向はくしくもセカンド定位置の方……


(……ッ!!!)

「セカンド捕って、一塁転送!」

「アウト!」


 ではあったけど、セカンドがすぐに定位置の方に戻って捌いてみせた。

 昨日とは少し違うパターン。月出里くんも月出里くんなりに昨日の反省を生かしたようだけど、これでもまだ相手の術中、か……


「何か今のセカンドの動き、変やなかったか?」

「送球も想定して、打球に回り込んで入ったんじゃね?」

「昨日から当たってはいるんやけどなぁ、ちょうちょ……)


(ウフフフフ……定位置への打球は基本的に打ち損じ。昨日は当たりの打球ばかりだったけど、ハズレの打球にもこれで対応できることが立証されたわねェ)


 ……やはり間違いない。月出里くんのバッティングの傾向が向こうに研究されたのだろう。

 今回のエペタムズのカードは昨日今日の2戦だけで、明日は休み。これがどう転ぶか……


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