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868回敬遠された月出里逢  作者: 夜半野椿
第二章 背番号25
442/1154

第七十話 瓦解(7/9)

 7月10日。オールスター前の試合を全部消化した後。オールスター前に1日休みを挟むけど、1日目は帝都ドームでやるから今は東北から帝都への道中。

 交流戦中に神楽(かぐら)ちゃんが二軍に行っちゃって、今も移動は基本あたし1人。正確にはある程度の人数でまとまって移動だけど、今あたしの隣の座席にいるのは、見ず知らずのおばあちゃん。

 まぁシーズンの半分くらいを一軍で過ごして、移動にも慣れてきたから特に問題はない。話し相手もいれば話すっていう程度。今はいないから、タブレットで球団管理アプリのメッセージとか確認。


「……ん?」


 たまにくる選手会からのメッセージ。いつもは飲み会がどうとかそういうお気楽な交流絡みのことばっかりだけど、今回のは毛色が違う。件名の頭に『【重要】』の一句。


『先日の桜井鞠(さくらいまり)選手の一件について説明義務を怠った三条(さんじょう)オーナーに対し、正式な抗議をすべく……』


 ……なるほど、そういう内容。


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『まったく、あの小娘は……』

『"嚆矢園(こうしえん)のスター"だからと言って、普段から編成や球団戦略に首を突っ込むすぎですよねぇ』

『領分を弁えずに選手を危険に晒して……』

『前の経営陣と比べたら戦力強化に積極的なだけマシなんですけどねぇ』

『しかしいつまで経っても予算が……』


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 今回の遠征中も、コーチ達の愚痴とかを小耳に挟んだ。まぁみんな、そう考えるよね。

 あたしは駒なんだから、言うまでもなくそんなのに加担する気はない。申し訳程度に既読はついたからこれ以上読むことはない。

 ……ほんと、大人の世界はめんどくさい。こっちはひたすら試合と練習だけしてたいのに。


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 7月13日。オールスター2日目終了。

 高卒2年目で選出されたにしてはドラマチックな展開なんてなかった。同じ条件の猪戸(ししど)くんが三塁手部門一位で選ばれてホームランダービーにも出たりで、そっちの方が圧倒的に目立ってたからね。あたしは普通にヒット1本、四球1つっていう、足を引っ張るでもなく目立つでもなくで終わり。一応いつも以上にはインタビューに応じたりしたけど、そのくらい。多分リコのファンなんかは来月くらいにはあたしの名前とかも忘れてる。

 2日目は嚆矢園(こうしえん)球場で、明後日からは本拠地のサンジョーフィールド。移動が楽なのは良い。


「……あ!月出里(すだち)さん!」


 いつも通り、関西の方では卯花さんのお出迎え付きというVIP待遇だけど……


「どうしたんですか?そんなに慌てて……」

「ついさっきすみちゃんから連絡があって……(やなぎ)監督が倒れたって!」

「え……?」


 あのジジィが……?


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