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868回敬遠された月出里逢  作者: 夜半野椿
第二章 背番号25
437/1157

第七十話 瓦解(2/9)

******視点:月出里逢(すだちあい)******


 6月27日。交流戦後の連休最終日。

 明日からはまた埼玉でビリオンズ戦。ナイターではあるけど、今日のうちに移動しておく。


「……スダチサーン!」

「あ……」


 寮を出ると、そこには大荷物を抱えたキャロットの姿。


「もう帰るんですね……」

「ハイ。長居しても迷惑デースカラ」


 薬物検査に引っかかって1年間の出場停止。内野が少ない状況で、違反者のために枠を1つ1年間も残しておけるわけがない。今日のその報道からすぐ、キャロットの退団も正式に発表された。


「本当に……したんですか?」

「……結果が全て、デース」

「そうですか……」

「スダチサーンみたいになりたかったデースカラネ」

「え……?」

(スプリング)キャンプで言ったと思いマースガ、ワターシは本当にスダチサーンの強打(スラッギング)に憧れてマース。だからワターシ、少しでもスダチサーンに近づきたかったんデース」

「…………」

「『スダチサーンのせい』と言いたいわけじゃアリマセーン。それだけスダチサーンはすごいと思ってるのデース。もう日本(ジャパーン)でプレーすることはないと思いマースガ、ベースボールは母国でも続けマース。お互い、国の代表になれるように頑張りマショー」

「……はい」


 今年はほぼ毎試合一緒に過ごしたのに、突然のあっけない別れ。悲しいわけじゃないけど、これもプロの世界なんだなーって……

 薬を使ったり、それですみちゃんに迷惑をかけたことに、もちろん思うところはいくらでもある。でも、キャロットの気持ちもわからなくはないし、それだけ憧れてもらえたことは素直に嬉しく思う。

 妬まれたり、それが原因で大事(おおごと)に巻き込まれるのは散々経験してきたつもりだったけど、お金が絡む大人の世界は、学校の中とは一味も二味も違うね……


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