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868回敬遠された月出里逢  作者: 夜半野椿
第二章 背番号25
426/1152

第六十八話 蝶と猪(5/7)

******視点:月出里逢(すだちあい)******


「プレイボール!」

「1回の裏、バニーズの攻撃。1番サード、月出里(すだち)。背番号52」


「今シーズンの交流戦は2カード目に突入。昨日は雨天中止となりましたが、今日と明日はバニーズとの対戦となります。本日の先発は■■。1回の表、バニーズの先頭打者は今シーズンブレイク中、高卒2年目の月出里……ですよね?」

「何か話に聞いてたよりも……その……身体つきがしっかりしてますね……」


 右打席から程近い猪戸(ししど)くんも流石に目を丸くしてる。悪かったね。昔からあんまり食べすぎると体型にすぐ反映されちゃうんだよ。すみちゃんが来るのが今日じゃなくてよかった。多分テレビでは観てるだろうけど。

 美貌が崩れるのが嫌というか、それ以前に中学に入ってからはそんなに多く食べる機会がなかったから、こうなっちゃったのは本当に久しぶり。練習ではどうにか身体を動かせたけど、実戦ではどうなるか……


「ストライーク!」

「初球ストレート空振り!146km/h!」


 ……うーん。


「ボール!」

「ボール!」

「ストライーク!」

「スライダー!これも空振り!」


「おいおい、クルックルじゃねぇか」

「あれで三振少ないのかよ」


「ちょうちょは追い込まれるまでだったら空振るの珍しくないからな」

「いや、ちょっと待て。ほんまにあれちょうちょなんか……?(困惑)」

「ワイの即ハボちょうちょ返して(懇願)」


 やっぱり何と言うか、肉がつっかえる。追い込まれるまでは読みが外れたら無理に当てに行かない方針なのはいつも通りなんだけど、それでもスイングがいつもより気持ちワンテンポ遅れる感じがする。

 もうワンテンポ早めて……ッ!?


「打ち上げた!」

「ああ……」

「セカンド鉄炮塚(てっぽうづか)、落下点に入って……」

「アウト!」

「アウト!まずはワンナウト!!」


 捉えたと思ったのに、ポイントがずれた……


「ドンマイドンマイ!」

「いや、せめて転がせよ……」

「あのちょうちょ、転がしたところで走れるんやろうか?」


月出里(フィノム)

「……はい」


 ベンチに戻ると、監督(ジジィ)に声をかけられた。


「いつも通りやれるな?」

「もちろんです」

「ところで、このカードから■■が一軍に帯同したのは知っておるな?」

「はい……」


 ただでさえ内野が2人、盤外戦でやらかして、外野もほとんど左打ちばかりだったから、最近育成の■■さんが支配下登録された。右打ちの内野手で、二軍では外野もやってた人。


「まぁワシはいつも通りのお前を優先するつもりじゃがな」

「……ありがとうございます」


 つまり逆に言えば……ってことだろうね。

 まぁあたしも反省してるよ。あたしの悪い癖、すぐ後先考えず意地になっちゃうところ。すみちゃんがこのカード来てくれるって話だったのに。神楽(かぐら)ちゃんが止めてくれなかったら、もっと酷いことになってたかもね。


「……!?これはライト下がって……下がって……入りましたホームラン!天野(あまの)、先制ツーランホームラン!」

「6月に入ってから好調ですね。ちょっと甘く入ったとは言え、外に逃げる球を無理せず逆に持っていけましたね……」


「「「「「おおおおおおおッッッ!!!!!」」」」」

「っと、これもライト……もう追いかけません!入ってホームラン!二者連続!!4番の天野に続いて5番のキャロットも特大の一発!!!」


「人参もスンゲーマッチョだぜ。二者連続で打った!」

「バニーズが一発攻勢とかマ?」

「まぁ帝稜やし……」


 ……ま、これがなくてもあんなふうに打ちたいんだけどね。

 何にしても、せめていつも通りにやれるように修正していかないと……


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