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868回敬遠された月出里逢  作者: 夜半野椿
第二章 背番号25
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第五十九話 誉れ(2/9)

「1回の裏、ビリオンズの攻撃。1番センター、棟木(むなぎ)。背番号55」

「棟木ー!出塁出塁!!」

「今日も投手燃やしたれー!」


 さて……いきなり難敵登場。棟木堅固(むなきけんご)。シーズン安打数の日本記録保持者。その上選球眼も良くて出塁率も高い。おまけに元々は長距離砲として期待されてたのもあって現在2年連続で3割20本最多安打。1番打者の割にはあまり盗塁は得意じゃないことくらいしかこれといった欠点がない。

 同い年で同じセンターに友枝(ともえだ)くんがいるけど、守備力なども加味すれば決して見劣りしない、球界を代表する超一流の外野手。


「ストライーク!」


 一応ファーストストライクは取れた。少なくとも球は走ってると思う。


「ボール!」

「ファール!」

(よし、追い込んだ……!)

(甘いぜ……!)


 !!やられた……!


「ショートの頭上、越えましたレフト前!」

「さす棟木」

「今年も最多安打頼むで棟木!」


 棟木くんは元々そこまで高打率の打者じゃなかった。一発も期待できる堅守の外野手。そういう立ち位置だったけど、追い込まれてからの逆方向の打撃に磨きをかけた結果、一発もある安打製造機へと変貌した。


「2番ショート、六車(むぐるま)。背番号6」

「列車のように繋いでけ六車!」


 嫌な打者がまだ続く。六車刀磨(むぐるまとうま)。彼の最大の武器はおそらく現役では最高峰のショート守備だけど、打力も十分。毎年安定して2割後半の打率と30盗塁に犠打もこなせる理想的な繋ぎ役。


「ショート捕った!」

「おおっ!ナイス!!」

「二塁送球!」

「アウト!」

「ファーストは……」

「セーフ!」

「セーフ!一塁はセーフ!」


 月出里(すだち)くんはショートの守備の中で併殺プレーはあまり得意じゃないけど、まぁ六車くんの脚を考えたら、相沢くんがやっても結果は変わらなかっただろうね。下手なショートだったらそもそもレフトに抜かれてただろうし、これはこれで良い。


「3番セカンド、赤藤(あかふじ)。背番号5」

「しゃーないしゃーない!繋がらんのなら一発や!」

「スタンドに放り込んだれ!」


 赤藤国光(あかふじくにみつ)。去年まで主にライトだったけど、今年からはFAしたセカンドの穴埋め。まぁ元々ショートだったからね。そして彼もまた中距離打者として実力は申し分なし。おまけに脚も使える。ユーティリティ性も含めれば棟木くん以上の万能野手。


「!!ライト!」

「フェンスに当たりました!ライトから中継へ!」

「セーフ!」

「ツーベース!ランナー二三塁!ビリオンズ、いきなりのビッグチャンス!」


 今年初めは十握(とつか)くんをライトに置いて外野は攻撃重視だったけど、金剛(こんごう)くんの不調もあって今は安定重視。松村くんじゃなかったらサードランナーが帰ってたかもね。


「4番ファースト、(せき)。背番号33」

「スリーランで良いぞ関!」

「ぶっ放せー関!」


 これだけ豪華な打線だから、4番も当然、他球団のそれと比べても高水準。関恵実(せきめぐみ)。去年のホームラン王。ものすごく見た目通りの和製大砲。


「ストライーク!」


 狙ってるねぇ……この荒々しい振り。"若王子姫子(わかおうじひめこ)の後継者"と呼ばれてて、実際に成績だけ見れば彼女とよく似たタイプの打者ではあるんだけど、実際のプレースタイルはかなり異なる。関くんはとにかく純粋なパワーで打球を飛ばすタイプ。


「打ちましたレフト方向……捕りました!」

「アウト!」

「三塁ランナースタート……」

「セーフ!」

「ホームイン!ビリオンズ、まずは関の犠牲フライで1点先制!」


 スタンドまで届かなかっただけまだマシだね……今日の氷室くん、少なくとも現段階ではやや球が甘く入る傾向がある。球威の分どうにか、ってとこか……


「5番キャッチャー、若王子撫子(わかおうじなでしこ)。背番号10」


 ツーアウト二塁。もちろんまだ油断はできない。この場面で個人的にビリオンズ打線で一番厄介な打者が相手だしね。

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