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868回敬遠された月出里逢  作者: 夜半野椿
第一章 フィノム
166/1131

第二十六話 カーテンコール(7/9)

2018ペナントレース バニーズ0-1ヴァルチャーズ

4回裏 0アウト

打者:成宮


○天王寺三条バニーズ

監督:柳道風(やなぎみちかぜ)


[先発]

1中 赤猫閑(あかねこしずか)[右左]

2遊 相沢涼(あいざわりょう)[右右]

3右 森本勝治(もりもとかつじ)[左左]

4左 金剛丁一(こんごうていいち)[左左]

5三 リリィ・オクスプリング[右両]

6指 ロバート・イースター[右左]

7一 天野千尋(あまのちひろ)[右右]

8捕 冬島幸貴(ふゆしまこうき)[右右]

9二 徳田火織(とくだかおり)[右左]


投 氷室篤斗(ひむろあつと)[右右]



●博多CODEヴァルチャーズ

監督:羽雁明朗(はがりあきたか)


[先発]

1二 ■■■■[右左]

2遊 睦門爽也(むつかどそうや)[右右]

3中 友枝弓弦(ともえだゆづる)[右左]

4一 成宮知久(なりみやともひさ)[右右]

5指 フィアマル・ローウェン[右右]

6左 田所瑠璃子(たどころるりこ)[左左]

7三 穂村小町(ほむらこまち)[右右]

8右 ■■■■[右左]

9捕 久保正典(くぼまさのり)[右右]


投 ■■■■[右右]

******視点:徳田火織(とくだかおり)******


「ストライクスリー!バッターアウト!スリーアウトチェンジ!」


 あのキモいソロムランの直後でも3人で斬れたのは流石のあっくん。


「5回の表、バニーズの攻撃。8番キャッチャー、冬島(ふゆしま)。背番号8」


 だけど、どんなに内容は良くてもこのままだと負けの責任を背負うことになる。


「初球打ち!ファースト……ジャンプ!」

「アウト!」

成宮(なりみや)、ファインプレー!ファーストライナーでワンナウト!」

「くそっ……!」

「恐らくストレートにヤマを張ってしっかり捉えたんですが、プロ初ヒットならずですねぇ。これは流れがヴァルチャーズに傾いてる感じですねぇ」

「9番セカンドベースマン、徳田(とくだ)。背番号36」

(厄介な奴だが、1点リードでワンナウトランナーなし。まだマシな状況だな)


 アタシ自身もリリィちゃんに負けたのに、その上あっくんまで負けさせるなんて、そんなの許せるわけないじゃん。

 ……誰も何もしないなら、アタシだけであっくんを勝たせてやる!


「な……!?」

「これは……ライト下がって下がって……フェンス直撃!」

「よっしゃあ!ナイバッチかおりん!」

「ツーベース!何と徳田、これでこのカード全試合で長打です!」

「うーん、しかしどうも納得してないような感じですねぇ……」


 もう……!今のでホームランにならないなんて……!!


「1番センターフィールダー、赤猫(あかねこ)。背番号5」

「さぁこれでワンナウト二塁、一打同点の場面です!」

「……!?」

「二塁ランナースタート!」

「ストライーク!」

「セーフ!!!」

「セーフ!セーフ!盗塁成功!!」

「打者が左打席なのによく盗みましたねぇ……スタート完璧でしたよ」

(くそっ、不意をつかれた……!)

「やるやんけかおりん!ナイスや!」

(そんな指示出しとらんのじゃがのう……まぁええか、面白いし)


 さ……これでヒットじゃなくても1点なんだから、それくらいは取ってよね?


「打ち上げた!しかしこれはセンター浅いところ……」

「アウト!」

「すぐさまバックホーム!三塁ランナーはスタートできず!」


 わずかに上っ面……あの距離で友枝(ともえだ)さんの肩じゃ流石に走れない……!


「2番ショートストップ、相沢(あいざわ)。背番号3」

「ストライーク!」

「ボール!」

「ボール!」

「ファール!」

「ボール!」

「ファール!」

「ファール!」

「粘ります相沢!」

(できればシングルで返したかったが、よりによって荒れ球が良いとこに来ちまった……こうなったらバッテリーエラーの期待込みで森本(もりもと)に繋ぐ……!)

「打ち上げた!これはサード追いかけて……捕ったァ!カメラマン席に突っ込んでナイスキャッチ!」

「アウトォォォ!!!」

「ボンバァァァ!!!」

小町(こまち)ィ!ナイスチェストじゃ!!」


 ……ッ!!!


「スリーアウトチェンジ!」

「これでスリーアウト!ヴァルチャーズ、ピンチを迎えましたがどうにか好守で凌ぎました!!1-0、ヴァルチャーズがリードです!!!」

「やはり流れはヴァルチャーズに傾いてますねぇ……バニーズも1点どころか2点3点取っててもおかしくないくらい良い攻めをしてたんですけどねぇ」

火織(かおり)、よく打ってくれた。サンキューな」

「……うん」


 あっくんに褒めてもらえたのは嬉しいけど、やっぱり勝たせなきゃ意味がない。


「7番サードベースマン、穂村(ほむら)。背番号5」

「ショート下がって下がって……落ちましたヒット!」

「打ち取った当たりだったんですが、ついてないですねぇ……」


 まだ点を取られたわけじゃない。


「8番ライトフィールダー、■■。背番号■■」

「打って、これはセンター前……いや、セカンド追いついた!!?」

「はぁ!?」

(嘘だろ……!?あれを捕るのか……!!?)


 これなら2ついける……!


「セカンド!」

「ッ……!」

「アウト!」

「一塁送球間に合うか……ああっと!」

「セーフ!」

「送球が上擦って天野(あまの)ジャンプ!捕球はできましたが足が離れました!」

「いやぁ……今の、徳田はよく捕りましたねぇ。あの球足の速さ、普通のセカンドならまず捕ることさえ出来ませんよ今のは……しかも着地とほぼ同時にグラブトスですからね。一歩目から完璧な動きでしたよ」

(徳田の奴……まだあんな底力を隠してたんだべか……!?)


 何でだよ……!?握り直しがどうとか言ってたくせに、何でちゃんと投げないんだよ……!!?

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