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868回敬遠された月出里逢  作者: 夜半野椿
第五章 ホンジ・スキーム
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第百七十二話 雌伏(1/?)

******視点:氷室篤斗(ひむろあつと)******


 5月24日。今日からリコとの交流戦。最初はビジターでジェネラルズ戦。

 戦う相手はリコだが、勝敗数を争うのはもちろんリプの中。チームは今現在2位。5月頭のウッドペッカーズ相手のカードで今年初めてのスイープを喰らったが、そこからはカード負け越しなしで、ヴァルチャーズとの差はそこまで広がってねぇ。

 そして交流戦と言えば、去年のウチは6月に異様に強くて、初の交流戦優勝も勝ち取り、リーグ優勝にも繋げた。そういう良い印象を今年も持ち込みたいところだが……


「1回の表、バニーズの攻撃。1番サード、月出里(すだち)。背番号25」

「ストライーク!」

「初球のまっすぐ見送りました!今日もバニーズの切込隊長はこの人、月出里逢(すだちあい)。一時期は打率5割も超えておりましたが、ここ最近では4割台前半へと落ち着いてきております」


 四球のイメージが強い割に、意外と初球から振るタイプの月出里。それが最近はあんまり振らねぇ。向こうもそれをわかってか、初球からそこまで厳しくもないまっすぐでカウントを狙ってきた。


「ファール!」

「これも粘ります!」


「さっさと前飛ばせやー!」

「"リプ最強打者"とか言う割にやってることセコイぞ!」


 三振がえらく少ないのは相変わらずだが、ここ最近はミスショットも多い。あおいうのも単にカットだけじゃなく、前に飛ばすつもりがってのも少なからずあるんだろうな。


「ボール!フォアボール!!」

「選びました!ノーアウト一塁、さっそく仕事を果たしました!」


「ええぞええぞちょうちょ!」

「外野が何と言おうとそれでええんや!」


(フン、よりによって小生と勝負できるこの交流戦で不調か……)

(九十九(つくも)くんの目の前だけど我慢我慢……赤猫(あかねこ)さんのためにも、今は無理なんてできない)


 チームがほんの少し失速したのは月出里の失速に比例してる部分もあるが……


「2番セカンド、徳田(とくだ)。背番号1」


 お前が帰ってきたプラスもきっと、失速を食い止めてるとこがあるはずだ。


「打席には徳田。2年連続打率3割、出塁率も毎年約4割稼ぐ好打者。今シーズンは開幕二軍スタートとなってしまいましたが、5月頭の復帰後は好調を維持し、.350以上のアベレージをキープしております」

「ボール!」

「初球、落としてきました!」


 火織(かおり)は才能がある分、どうしても油断しがちなとこがあるが、逆に一度落ちた後は強い。


「引っ張って!……いや、セカンドよく捕った!」

「アウト!」

「一塁ランナーは二塁へ進みましたが、一塁はアウト!セカンド九十九(つくも)、いきなり好プレーを魅せました!!」


「ようやった(あさひ)!」

「ネクスト杏那(あんな)はやっぱりお前や!」

「うーん、このままセカンド固定でええんちゃう?」


 やっぱやるな、月出里の同級生の奴。


「アウト!」

「アウト!」

「これでスリーアウトチェンジ!」


 そして最近の打線全体は少し冷え込み気味。

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