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Atlantis Word Online -魂‼︎‼︎‼︎‼︎-  作者: 双葉鳴
炎上(物理)配信!
22/30

第二十一話 神域

 確かに背後を取ったはずだった。

 そして村正は音の精霊姫を叩き切った。

 確かな手応えもあったのに、精霊姫は口角を釣り上げていた。

 これは、誘い込まれたか?


 目の前で音が集中する。

 腹に腕が添えられた。

 腰を落とし、込められた力。

 全神経を腹に集中させても、その力をいなしきれずに直撃をもらう。


 俺は後方に吹っ飛ばされていた。

 リリーの合体技が解かれるほどの衝撃。

 綻びが生まれる、そしてその綻びに斬りかかるソナークリー。



『リリー! もう一発耐えられるか?』


『|◉〻◉)跳ね返してやりますよ!』


『村正!』


『モーバ殿に合わせるでござる』


『陸ルート、ワープは可能か?』


『………』


『|◎〻◎)へんじがない、ただのしかばねのようだ』


『リリー殿、縁起が悪いでござる!』


『精神をつなぐパスが一瞬切断されかけた。PPが少なくなってきてるが、ブラスターを撃たないのであれば数回は可能だ』



 何やら通信障害のように感度が悪いが、なんとか声は届いた。

 ワープが使えるなら回避は可能。



[チェェエエエエエストォオオオオ!!!]



 鬼気迫るソナークリーの追撃。

 ワープで回避出来なかったらヤバいと判断できるだけの傷跡を大地に残す。

 余波で地表が吹っ飛んだ。

 後方で避難していたパスカルやオメガキャノンもすくなくないダメージを受けているようだった。

 これは放っておけば全滅しかねないヤバさがある。



「パスカル、ジャスミン、オメガキャノン! お前らも来い! 掌握領域!」


『|◉〻◉)無茶です、マスター!』



 リリーの呼び声を無視して行使する。

 ガクンと減る正気度。わかっていた事だが、60%が30%まで落ち込んだ時はショックを通り越して頭が真っ白になりかけた。



『無茶も無謀も全部クソ喰らえだ。でもなぁ、誘っておいて見捨てたらそれこそ後味悪いだろうが!』


『モーバ、お前!』


『散々迷惑かけた俺の事を、そんなふうに思ってくれたのか?』


『モーバ、すまない。本当ならもっと活躍できたのに!』



 パスカルも、オメガキャノンも、ジャスミンもなに辛気臭いツラしてやがるんだ。

 こっちも正気を失いながら維持してんだ。

 勝つぞ!



[ならば我らも扱ってみせよ、マスター]



 何処かで聞いた声がした。

 これは風の精霊か?

 大地の精霊も、火の精霊も、地の精霊もいる。

 こいつらまで俺の元に集まってきた。

 俺は全てを取り込んで、一つの大きな存在になっていた。



 唐突に世界が止まった。

 否、動いてはいる。まるでスローモーションのようにコマ送りされた攻撃を繰り出すソナークリー。

 正気度は%単位ではなく、一桁ずつ減っていく。

 俺のタイムリミットはこれが尽きるまでだ。


 加速した思考の先、俺は振るう右手で村正を構え、払うと同時にソナークリーの体に左手を添えていた。

 属性停止の効果が、受け身を取る動作すら許さずソナークリーを両断する!



 最後の精霊姫の討伐アナウンスと、合体の解除は同時だった。

 残された正気度は10を切っていた。

 だが、その正気度は自然に回復していった。

 一体何がどうなっていやがる?


 いや、よく見たら正気度の最大値が100から94に落ちていた。

 もしかしてこれ、使えば使うほど、上限値が減るタイプなのか? その上で合体人数に合わせて%が減るんだろうな。6人で60%減ったのだ。

 そして落ちた数値も6。

 つまり回数をこなすほど、合体できる人数が減る事になるのだ。

 ピーキー過ぎねーか、この能力?

 実際にその能力の凄さには助けられたのだが、あまりにもアレ過ぎて用途が難しい類だった。


 

「リリー、今後この能力封印な?」


「|◉〻◉)そんな~」


【やったのか?】

【最後所々砂嵐でよく見えなかった】

【正気度チェック入るような何かあったのか?】

【あったようなないような?】


「ないぞ?」


【無いって】

【この配信者嘘つきだぞ?】

【|◉〻◉)妹よ、よくやりましたハヤテさんも褒めてましたよ】


「|◉〻◉)ア、オネエチャン」


【お疲れ様、モーバ君。無事試練を超えたようだね。クトゥルフさんも君に会うのを楽しみにしてたよ?】



 は? 

 今の戦闘にそんな要素あったか?

 適当言うのやめてくんない?



<五つの試練を乗り越えました>


<精霊姫を眷属化できるようになりました>


<精霊憑依が可能になりました>


<正気度が10減りました>


<浸食度が30上昇しました>



 そして後からどっさり降りかかるシステム音。

 せっかく回復した正気度が減った。

 やめて、さっきようやく11になったのに10減らすの本当にやめて。

 もしかして10以上に回復するの待ってた?

 それくらいの鬼畜な所業だった。



 ──────────────

 マスター:モーバ

 魔導書 :ルルイエ異本

 幻影  :リリー


 正気度:  1/ 96

 侵食度: 80/100

 神格 :クトゥルフ


 断片 :0/10枚

 断章 :地、水、風、炎、音

 信仰 :20


 権能 :神格召喚【クトゥルフ】

    :掌握領域【属性停止】

    :掌握合成【能力融合】

 固有 :精霊姫従【召喚】

    :精霊憑依【能力強化】

 ──────────────



 なにやら知らぬ間に増えてる浸食度が気になる。

 


『|◉〻◉)親密度です。もう一個の能力解放まであと20ですね!』


『またくそピーキーな能力じゃ無いだろうな?』


『|ー〻ー)どう受け取るかはマスター次第なのでー』



 ほんと、こいつときたらムカつく顔してるんだよな。

 と、キレたらそれこそ正気を失うそうだ。

 平常心、平常心を保てよ、俺ぇ。



 こうして俺たちはなんやかんやと5の契りまで終わらせた。

 正直、ここまで苦戦するのも計算外だし。

 なんだったらライダーになるのも計算外だ。

 が、視聴者は爆発的に増えたのでよしとする。


 ちょっとこのまま連戦するのは俺のメンタル的にやばいので、休息を兼ねて続きは翌日とした。

 ジャスミンたちには悪いが、流石に正気度1で数こなすのは俺のメンタルが先にまいっちまう。


 俺は配信を終え、後半やたら砂嵐の映ってた画像をチェックしてアーカイブ化して動画サイトに投稿した。

 翌日動画を見てくれたプレイヤーから変な噂を立てられたが、いったい何を見て何を勘違いしてるのやら。


 俺は深く考えず、村正を誘った。

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