初めましてですわ!
とある朝。日差しが部屋の中にいるお嬢様に降り注ぎ、彼女はその光で目を覚ます。腰どころか足まで届くほどの長髪をたなびかせ、彼女は窓を開けに行く。部屋の中ではメイドが彼女の髪をグルグルと巻いていき、見事な縦ロールお嬢様ヘアーへと変えていく。そして彼女が窓を開ける頃には、その髪は完全に腰まで届くほどのお嬢様ヘアーへ変化した。
「さ、今日も張り切っていきますわよ!」
そう言うと彼女は部屋を出て下の階へと進む。下の階では既にメイド達が食事の準備を進めていた。そんなメイドたちを片目に、彼女は今日自分が着る服の確認をしていた。彼女は中々胸が大きく、明らかにEカップ以上存在しているためほぼオーダーメイドである。そして今日は彼女の入学式なのだ。
「奥様、朝食が出来上がりました」
「そうですか、では朝食にしましょう……。あら『レルゥ』今日は早いわね」
「お母様おはようですわ。今日は私ついに入学式なんですの。楽しみでこんなに早く起きてしまいましたわ」
「そうですか。……少し、寂しくなりますね」
「そうですかお母さま……。大丈夫ですわ。たまに帰ってきますわ!」
「……えぇ。ですがあなたにとって人生は一度きりだけ。目いっぱい楽しんできなさい!」
「はい!わかりましたわ!」
そして制服を着ると、レルゥは窓を開けそこから飛び出す。そして木々を蹴りながら走っていく。そして母親はそれを感慨深く見ていた。その手にはとあるロケットペンダントが握られていた。
「……あなた。……どうか、あの子を守ってあげて」
そしてしばらくレルゥは走っていた。中々学校が見えないことに若干疑問を抱きながらも、その歩みを止めることはしなかった。彼女の父親は今から十年ほど前に死んでいる。腹上死であった。そして父親の死後一年経ったある日生まれたのがレルゥという訳なのである。
レルゥはとにかく強かった。そりゃもうびっくりするくらい強かった。なんでこの親からこいつが生まれてくるの?と言いたくなるくらいの強さであった。幼いころからクマを素手で殴り殺し、十歳になった頃には素手で木を切断できるほど強くなっていた。現在の彼女の強さは素手だけで言うなら世界最強である。しかしこの世界には魔法と言う物が存在する。
「それにしても、学校遠いですわね……」
魔法。それは人が作り出した人工的な奇跡である。魔力と呼ばれる力を使い、様々な物を発動させる物、それが魔法である。ではレルゥはそれを使えないのか?と言われるとそうでもない。確かに、魔法の専門家からすれば使えない認定もやむを得ないだろうが、一般的な人間が使う事が出来る基礎魔法は全て会得している。
通常通り使うのであれば弱いともいえただろうが、史上最強の存在が使用するせいで完全に壊れてしまっている、要は『これはメ○ゾーマではない……メ〇だ』状態なのである。
何が言いたいのかと言うと、魔法面でも最強であると言う事だ。そんな彼女は今、普通の学校に向かっている。別に魔法を学びたいわけではない、かと言って強くなることをしないという訳でもない。単純に友達が欲しいのである。
後強いて言うなら普通の学校生活がしたいと言う物でもあった。
「学校に付いたらまず何をしましょうか……。友達を作ると言っても、今までほとんど友達はいなかったから分からないですわ……」
とまぁそんな年相応の願いを持った、年相応ではない強さのお嬢様は学校で何をするかと言う事を考えていたのであった。