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第9話

「はぁ、はぁ……ここまで来れば安心だろう」


 俺は二人を連れて森の中を駆け抜ける。

 途中でルイが何度も転びそうになったが、そこは何とかカバーした。


「はぁ、はぁ……」

「……だいじょうぶ?」

「だ、大丈夫です……ご心配をおかけしました」


 そう言いながらも息切れを起こしているミーシャ。

 どうやらあまり体力はないらしい。


「本当に大丈夫か?」

「平気です。それより早く薬草を取りに行きましょう」

「ああ」


 今回のクエスト内容は森に生息する希少種の薬草を採取すること。

 生息地が限られているため滅多に市場に出回らない。

 そのため今回クエストとして受注することになったのだ。

 で、事前情報によればその薬草は茂みの奥にある洞窟の中にあるという。


「地図によれば、そろそろ目的地の洞窟に辿り着くはずだ」


 三人で地図を見ながら目的地を目指す。

 しばらく歩くと目的地である洞窟に到着した。

 入り口は大人二人が並んで入れるくらいの広さがある。

 中に入ると薄暗く、湿っぽい空気が漂っていた。

 ひんやりとした冷気が肌に染み渡る。


「こういう狭い洞窟を移動する際、モンスターやならず者の奇襲に遭う可能性がある。なので、細心の注意を払って進む必要がある」

「具体的にはどうすれば?さっきみたいに不意打ちを受けたら危険だと思うのですが」


 ミーシャが不安げな表情を浮かべながら聞いてきた。


「それなら問題ない。俺が先頭を行くから、その後ろについてきてくれればいい。二人は、後ろからの襲撃にだけ警戒してくれ」

「分かりました」

「ルイもそれでいいか?」

「……うん」

「よし、じゃあ行こうか」

「はい」

「……おー」


 薄暗い洞窟の中をゆっくりと進んでいく。

 俺は、気功法を応用して気配探知を発動していた。

 周囲の気の流れを感じることで、目に見えない存在も感知できるのだ。

 今のところモンスターの影はなし。それに人の気配もないな。

 まぁ、ここは人目につかない場所だから当然といえば当然だけど。


「……パパ」

「ん?」


 ルイが俺の服を引っ張ってきた。


「なにかあったのか?」

「……あれ」


 そう言って指差す先には広い空間があり、草木が生い茂っていた。

 洞窟の天井に一部分だけ穴が開いているお陰で陽日が差し込み、本来植物が育ちづらい洞窟内で草木が生えているのだ。


「ここだ」


 俺は立ち止まりミーシャ達を振り返る。

 ミーシャとルイはキョロキョロしながら辺りを見渡している。


「ここに薬草が生えているのですか?」

「ああ、間違いない」


 俺は自信を持って答えた。

 今回採取する薬草……。ここのどこかには生えているはずなんだが……。

 俺は目を凝らすようによく観察する。すると、地面が不自然に盛り上がっていることに気づいた。

 そこには、小さな花をつけた草があった。

 俺はゆっくり近づく。


「これだ」

「これが薬草なんですね!」


 ミーシャが驚いた様子で言う。

 ルイはよく分からないといった感じだ。


「でも、どこにでもある普通の雑草に見えるんですけど」

「しかし資料によればこの薬草らしい。ほら、こっちにも生えてるぞ」

「本当だ」


 エインは近くの地面に生えている薬草を指す。


「ちょっと摘んでみよう」

「はい」

「……」


 三人で手分けして薬草を摘む。


「こんなもんかな」


 俺は両手いっぱいに抱えている薬草を見て言った。


「すごい量になりましたね」

「ああ、これだけあれば十分だろ」

「……これでお金もらえる?」

「もちろんだとも!」


 俺達は笑顔を浮かべて洞窟を後にした。

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