第6話
翌日。俺達はミーシャの容態を確認するためギルドの診療所へと向かった。
受付で病室を聞き、案内された部屋に入ると、そこにはベッドで横になるミーシャの姿があった。
点滴を受けているようだ。栄養剤かな?
「おはようございます」
「……お、おはようございます」
俺達が挨拶をすると、彼女は驚いた様子で答えてくれた。
どうやら意識はハッキリとしているみたいだ。
「体調の方はどうですか?」
「……えっと、少しだけ、良くなってきました」
「それは良かったです」
見たところ顔色も悪くないし、元気そうに見える。
俺は彼女のベッドの隣にある椅子に腰掛ける。
隣にはルイが座っている。
「……あの、助けていただき、ありがとうございました」
「いえ、当然のことをしたまでですよ」
礼を言われるようなことはしていない。
俺はただ当たり前のことを行っただけだ。
モンスターに襲われている人がいたので助太刀に入った。
それだけのことだ。
「……ふむ」
それにしても、こうして間近でよく見ると、本当に綺麗な女性だ。
長い金髪はサラリと流れていて、瞳の色は澄んだ空のように青い。
肌の色も透き通るように白くて美しい。
そして最も特徴的なのは、彼女の『耳』だ。
大きくて尖っていて……こんな耳をした人間は初めて見た。
こんな美人さんがどうしてあんな場所に一人でいたのか気になるが……まあ、あまり詮索するのは良くないだろう。
「……本当に、助かりました」
「気にしないでください」
「……それで、その、……何か、私にできることはないでしょうか? なんでもします!」
「何でも?」
「はい!……できることがあれば、ですけど」
彼女は申し訳なさそうな顔をして言った。
さて、どうしたものか。
彼女を助けたのはあくまで成り行きに過ぎない。
別に恩を売りつけるつもりはないし、何かをして欲しいわけでもない。
しかし、彼女から提示された対価は、あまりにも魅力的だった。
当の本人から「何でも」とまで行ってきたのだ。こんなチャンスを逃す手はない。
俺は顎に手を当てながら考える。
今、俺が一番欲しいモノ。
それは、ズバリ『金』だ。
今の俺は無一文に等しい。
宿はあっても、まともな食事をする金すら厳しい現状だ。
俺だけならまだしも、育ち盛りのルイが栄養不足になることだけは避けねば。
だが、冒険者として生計を立てようにも、討伐クエストNGな俺は稼げるクエストを受けられない。
だからミーシャに金を貰う……というのも無理だな。
ミーシャの境遇を鑑みれば、彼女が金を持っていないのは明らかである。
……となると、やはりアレしかないか。
「じゃあ、冒険者になって俺とクエストを受けてくれませんか?」
「えっ!?」
俺の提案にミーシャは驚いている。
そりゃそうだ。
俺だっていきなりそんなことを言われたら驚く。
でも、これしか方法がないんだよなぁ。
俺がお金を稼ぐ方法は限られている。
ならば単純に数をこなすしかない。そのためには沢山クエストを行う人手が必要なのだ。
「嫌でしたら断ってくれて構いませんが……」
「そ、そんなことはありません!! 是非御一緒させてください!!」
「本当ですか?」
「はい! 私はあなた方について行きたいんです!」
そう言ってミーシャは大きな声で叫んだ。
必死さが伝わってくる声音だった。
俺とルイはその勢いに押されて思わず一歩下がる。
ルイは首を傾げていた。
何が何だかわかってないみたいだな。
俺はルイの頭を撫でる。
「分かりました。ではよろしくお願いします」
「はいっ!!」
こうして、俺は新しい仲間を手に入れた。
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