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第5話

 ギルドを離れた俺達は、宿屋へと戻って来た。


「……パパ、疲れた」

「そうだね。今日はもう休もうか」

「……うん」


 ベッドに入った俺は、横になっているルイの頭を撫でる。

 ルイは気持ち良さそうに目を細めている。その姿がとても愛らしい。


「……パパ」

「なんだ?」

「……好き」


 ルイは真っ直ぐに俺を見つめて言った。

 ……どうしたんだ急に。

 これは、もしかしたら告白という奴なのか?

 いや待て。ルイはまだ幼い。

 単純に好意的という意味での『好き』なのだろう。


「……パパのこと、大好き」

「そっか」


 俺は苦笑いを浮かべてルイの頭を撫で続ける。

 ルイは無表情のまま頬を赤く染めている。感情表現が豊かな子だ。

 でも、いきなり好きだと言われるとは思わなかった。

 まあ恋愛的な意味ではないだろうけど。

 取り敢えず、俺からも何か言わないと。

 俺はルイの耳元に顔を近づけて囁く。


「ルイのことを、一番愛してるぞ?」

「……ふぇっ?」


 すると、ルイは恥ずかしそうに俯いた。


「〜ッ!!」


 顔が真っ赤になっている。

 こんな反応をされるとは思ってもみなかった。


「……パパ、ずるい」

「何が?」

「……わたしも言う」

「何を?」

「……あ、愛し、……て」

「……」


 俺の胸に飛び込みながらそんなことを言うものだから、俺も照れてしまう。


「……あぅ〜」


 ルイも自分の行動が予想外だったのか、顔を手で覆って悶絶していた。


「……パパのばか」


 娘にばかと言われてしまった。


「……パパ、ギュッとして」

「はいよ」


 俺はルイを抱き締める。

 柔らかい。良い匂いがする。

 ルイの身体は細く華奢だが、それでも女の子特有の柔らかさと温かさがある。

 ルイは俺の胸板に頭を当て、グリグリしている。甘えたいのだろうか? 俺はルイの小さな背中に手を回し、ポンポンと優しく叩く。


「……もっと強く、お願い」

「こうか?」


 更に力を込める。


「……うん。……あったかい」

「俺もだ」

「……幸せ」

「俺もだよ」

「……ずっと、このままでいたいな」


 ルイが目を潤ませながら俺を見上げる。

 俺も同じことを考えていた。

 俺達の間には言葉はいらない。

 ただ抱き合って互いの体温を感じていればいいのだ。

 そうすれば自然と心が通じ合う。

 この世の誰よりもお互いを理解し合える存在になれる。

 今わかった。きっと、家族というのはそういうモノなのだろう。


「……ダメ?」

「そんなことないよ。俺も同じことを思ってたからね」

「……良かった」


 ルイは嬉しそうに微笑む。

 滅多に表情を作らないルイの、その笑顔は今まで見た中で最高のものだった。

 この子の為なら命を投げ出す覚悟はある。……そう思えてしまうくらいに素晴らしい笑顔だ。


「これから先、どんなことがあろうと俺が守るよ」

「……ありがと」

「愛してるよ、ルイ」


 そう言って俺はルイの額にキスをした。

 すると、ルイの顔がみるみると赤くなっていく。

 俺はそのままルイの背中を叩き続けた。

 やがて、ルイはゆっくりと眠りについた。

 俺の膝の上でスヤスヤ眠っている。

 可愛い寝顔だ。

 俺は微笑ましく思いつつ、ルイの頭を撫でた。

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