第2話
俺は、エイン・スタイナー!将来の夢は『モンスター博士』だ!
先日、俺はとある事情があって、ダンジョンの奥深くにある卵を発見した。
卵を見つけた時は驚いたよ。滅茶苦茶光ってたし、おまけに中に入っていたのが、世にも珍しい『亜人種の卵』なんだからな。
そして生まれてきた亜人の子に『ルイ』という名前を授けた俺は、この子を自分の娘として育てることに決めた。
「ということで、これから君を育てる事になったから。」
「……うん」
「おう!今日からお前は、俺の娘だ!」
「……うん」
「まあ、俺まだ15歳だし、子育てのノウハウとか全くわからないけど、頑張ってみるぜ!」
「…………」
「よし、まずは自己紹介からだな!俺の名はエイン!冒険者をしている!職業は拳闘士だ!好きな物はモンスター!嫌いなものは人間が殺したモンスターの死体だ!」
「……わたしは……るい。……それだけ」
ルイは、ぼそっと呟くように言った。
「そうか!じゃあ早速だが、一緒に街へ行って買い物でもするか!」
「……いらない。……何も食べなくても生きていける」
「何言ってんだよ!子供は沢山食べるもんだろ!?ほら行くぞ!」
俺は強引に彼女を外へ連れ出した。
しかし、外に出るなり、ルイは俺の服の袖をぎゅうううううううううっと握りしめ、足を止めてしまった。
「……こわい」
「えっ?怖い?なんで?」
「………………モンスターがいっぱいいる。……行きたくない」
「……?よくわからないけど。そんな事言わずにさ、ちょっとだけ付き合ってくれよ!なっ?」
俺は無理やりルイを外に引っ張り出す。
ルイは嫌々ながら、しぶしぶついてくる。
「大丈夫だ!何があっても俺が守ってやる!」
「……ほんとう……?」
「ああ!本当だとも!」
「……わかった。……信じる」
「よし!偉いぞ!」
俺はルイの頭を撫でる。
するとルイは嬉しそうな顔をして、俺の手を握り返した。
「……♪」
ルイは、鼻歌を歌っている。
よし。まずはこの街を紹介しようか。
「ここが俺達が住んでいる『へーメル』の街だ。人口は1万人くらいかな」
「……ふーん」
「結構大きな街だから、色々と遊べると思うぜ」
「……別にいい。興味ない」
「おいおい。せっかくだから遊ぼうぜ?俺が案内するよ」
「……いい」
ルイは立ち止まり、その場に座り込んでしまった。
「うーん。じゃあさ、ルイは何かしたいことある?」
「……特に無い。……強いて言うなら、日陰の隅でひっそりしていたい」
「お、おお……。そうか……」
なかなかにインドア系な子のようだ。
俺はとりあえず、街の観光スポットを回る事にした。
***
「……疲れた」
「んー、そうだなぁ。次はどこに行こうかなぁ」
「……もう帰ろう」
「待て待て!まだ来たばっかりだろ!?」
街を歩き始めてからまだ15分くらいしか経っていない。
それとも、生まれたばかりの亜人は体力がすこぶる低いのか?まあ孵化したばかりの赤ん坊なのだから当然かも。
「仕方ない。少し早いけど、家に帰るか?」
「……うん」
俺はルイの手を引いて歩く。
ルイは俺に引っ張られながらも、大人しくついてくる。
こうして見ると、本当に普通の子供にしか見えないな。……というか、そもそもこの子は俺と人間なのだろうか?
俺は、亜人というものがどんな存在なのか知らない。
博士ですらあまり詳しくなさそうだったし。どこかに亜人の生態について研究している学者でもいないかな?
「……パパ?」
「ん?」
「どうしたの?」
「いや、なんでもないよ」
「……そう」
ルイは俺を見上げてくる。……やっぱり普通に可愛い女の子だな。
角が生えてさえいなければ、誰もこの子が昨日卵から孵ったなどと信じないだろう。
「あっ、そうだ。ちょっと寄りたいところがあるんだけど、いいかい?」
「……うん」
俺はルイを連れて、冒険者ギルドにやってきた。
「ここだよ」
「……ここは?」
「俺がいつも世話になっている斡旋所だ」
俺はギルドの扉を開ける。
「お邪魔しまーす」
「……失礼します」
中に入ると、多くの冒険者達がいた。
この時間はまだ冒険者は少ない方だが、それでもかなりの人数がいる。
俺は受付に向かって歩いた。
受付にいたのは、昨日とは別の人だった。
「すみません」
「ようこそいらっしゃいました!本日のご用件はなんでしょうか!」
「えっと、仕事を探したいんですけど」
「かしこまりました!ご紹介できるクエストはこちらになります!」
俺は差し出された紙を見る。……そこには、様々な依頼内容が書かれていた。
討伐任務、素材採集、護衛任務、雑務全般etc.
「ちょっと金が必要になりまして。稼げるクエストはありますかね?」
「それでしたら、これなんていかがでしょう!」
渡されたのは一枚の依頼書。
「……これは?」
「はい!『ゴブリンキングの討伐』です!最近森の奥の方でゴブリン達の動きが活発になっておりまして!その調査も兼ねた討伐なのですが……」
「あ〜俺、討伐クエストはやらないんです。他のはありませんか?例えば、薬草採集とか」
「えっ?……わかりました。それでは、こちらはどうですか?」
次に渡されたのも、モンスター退治ではなく、採取系の依頼書だ。
「『ラビット草の納品』『銅鉱石の採取』ですか。……うーん。どれも微妙だなぁ」
「で、では、これで!」
次に見せられたのは、『スライムの体液の納品』という依頼書だ。
「『スライムの体液』を100ml集めて来て下さい!報酬は5000ゴールドとなっております!」
「なるほど。悪くないな」
俺が泊まっている宿の代金が150ゴールドだから1ヶ月以上暮らしていける額だ。
「じゃあ、これをお願いします」
「はい!承りました!」
***
「さて、明日はクエストに行くぞー!」
「……ん。……どこ行くの?」
「そうだな。とりあえず、街の近くの森に行ってみるか」
「……わかった」
俺はルイを寝袋に寝かせた。
以前まで俺が使っていたものだけど、一個しかないから仕方ない。
何せこの宿。格安だが机や棚といった家具どころかベッドすら無いからな。
俺は床の上で寝る。
金が貯まったら、寝袋をもう一枚買うとしようか。
「じゃあ、お休み」
「……うん。……お休みなさい」
俺達は眠りについた。
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