表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/14

第14話

 そこは研究施設のような場所だった。様々な装置や機械があり、中には用途不明の物もあった。

 博士が部屋の中央にある椅子に座って、足を組む。


「さて、どうしたものかな」


 流石の博士も、こんな時でも冷静だった。


「あの島は何なんでしょう?どうしてあんなものが突然現れたのか?そもそも、あれは一体何なのか?謎だらけですよ」

「確かにな。しかし、世界とは時に常軌を逸した現象を起こすもの。こういう事もあるだろう。私はモンスター博士になる前から、多くの不可思議と対面する度にそう思うことにしている。……だがそれより、今はこの状況を切り抜けることを考えなければ」

「ええ。そうですね」


 俺は考える。

 まず最優先として、俺達の身の安全を守ることだ。


「博士。この施設に非常食等はありますか?」

「あるぞ。ただ、私だけが籠ることを想定していたからな。4人となると……せいぜい3日分といったところだろう」

「3日……それまでに上の状況が良くなるでしょうか?」

「ふむ。街の異変を知った貴族達が騎士を派遣してくれれば、或いは……」

「しかしそれが上手くいかなければ、俺達は飢え死にですね」


 そうでなくても、この場所がモンスターに気付かれない保証は無いのだ。

 追い詰められれば、俺達はきっと皆殺しにされるだろう。


「……パパ」


 心配そうに俺を見上げるルイ。

 俺はルイの頭を撫でた。


「大丈夫だ。お前は俺が守る」

「……うん」


 ルイはコクリと頷いた。


「それにしても、こんなことになるなんて……」


 ミーシャもソワソワして落ち着かない様子だ。

 俺は2人を落ち着かせるために言った。


「大丈夫だ。きっと助かる」

「しかし、どうやって?」

「まずは耐えるところからだ。冒険者は過酷な状況にも耐えうる忍耐力が大事なのさ」


 そう言って俺は本を取り出した。


「これはモンスター図鑑だ。ここには世界中のありとあらゆる種類のモンスターの情報が記載されているんだ」


 図鑑を開く。

 そこには多種にわたるモンスターの写真が記載されてあった。

 俺は何度も読み直したその図鑑を2人に見えるように広げる。

 ミーシャは言う。


「なるほど。この図鑑でモンスターの知識を付け、突破口を開こうというわけですか」

「いいや。これはただの暇つぶしだ」

「えぇ!?」

「言っただろ、忍耐力が大事だって。俺達は今、非常に危険な状態なんだ。だからこそ、少しでも余裕を持っておく必要がある。こうしてモンスター図鑑を読みながらモンスターについて考察することで、平静を保てるのさ」

「な、なぁるほど……。流石エインさんは先輩冒険者です!見事な精神コントロール!」


 ミーシャは感心した様子で俺を見る。


「ああ。だからお前らもリラックスしろ」

「うーん……そう言われましても」


 ミーシャは不安そうな顔をしていた。


「そう言えばミーシャ。お前とは仲間になってからゆっくり話をする機会が無かったし、この際少し話さないか?」

「えっ?わ、私とですか!?」

「ああ。色々知りたいこともある」


 俺は図鑑を読み進めながら言う。


「とはいえミーシャは記憶喪失だし、あれこれ尋ねられても困るだけか。……なら、ミーシャから俺に質問するといい。何でも答えようじゃないか」

「い、いいんでしょうか?」

「ああ。構わないぞ」

「じゃ、では……あの……エインさんのご趣味は?」

「趣味?」


 何という月並みな質問。

 まあ答えるけどさ。


「趣味はモンスターの観察と記録を付けること。後は読書だな」

「エインさん。本をお読みになるんですか?」

「これでも博士を目指しているからな。知識は多い方がいい」

「へぇ……凄いですね」

「そうでもないさ。好きでやってることだし。……ミーシャは、自分がやってて好きだったこととか覚えてないのか?」

「私が好きだったこと……それは、弓を使う事だったような気がします」

「弓を?どうしてまた」

「分かりません。でも、私は弓がとても上手かったらしいんですよね」


 記憶喪失だからか、どこか他人事のようにミーシャは答えた。


「なるほど。……ルイは、好きなことってあるのか?」


 俺は隣に座っている少女に尋ねた。

 ルイは首を横に振る。


「……わからない」

「そうか。生まれたばかりだしな」


 俺は頭を撫でてやる。

 するとルイは気持ちよさそうな表情を浮かべた。


「よしよし」

「……パパ」

「どうした?」

「……パパに撫でられるの、好き」

「ルイは撫でられるのが趣味、か。……可愛い奴め」

 俺はルイを膝の上に乗せると、優しく髪をすくようにして撫でてやった。

「……♪」

「よし。ルイにモンスターの素晴らしさについて教えようじゃないか。この図鑑を読めば、きっとルイもモンスターの魅力に取り付かれるぞ!」


 そう言って俺は図鑑をルイに読ませる。


「……字が読めない」

「何だと!」


 そうだ。ルイは生後数日の0歳児。

 まさか、字が読めなかったとは……。今まで普通に言葉を話せていたので、その可能性を失念していた。


「ルイ、すまん……」


 俺は謝る。ルイはコクリと首を傾げた。

 俺は言う。


「お詫びと言っては何だが、俺が読んで聞かせてやろう」

「……読む?」

「ああ。これからお前にはモンスターの事をたっぷり語ってやる。楽しみにしていろ」

「うん」


 俺はルイの頭の上に手を置いた。

 そして図鑑を開き、読み始める。

『本作を楽しんでくださっている方へのお願い』


下にスクロールすると、本作に評価をつける項目が出てきます。


お手数おかけしますが、更新の励みになりますので、ご存知なかった方は是非評価の方よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただき有難うございます
気に入ってくれた方はブックマーク評価感想 をいただけると嬉しいです

script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ