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清姫異聞  作者: 四月朔日
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若いころの安珍と清姫

初めて清が安珍と会ったのは、まだ清が7つか8つの頃だった。

その頃の清はお転婆で、男の子に混じって泥だらけになって遊ぶ毎日を過ごしていた。

またとても活発だった為、真冬以外は庄司ヶ淵で衣服を全部脱いで泳いで過ごしていたらしい。女の子と言っても、この年齢では男の子とさして変わらない毎日を過ごしていたのだった。

ただ子供とはいえ、真砂一族を束ねる真砂庄司清重の娘である。

一族の将来を担うものとして周囲の者からは非常に大切に扱われていた。


安珍は寺で修行する小坊主の一人だった。日々、お師様の下で修業に励み、功徳を積む毎日を送っていた。

表向きは、である。

裏では御師様の目の届かないところで、割と自由に羽を広げる怠惰な一面も持っていた。

この日もお師様の命令で熊野にお使いに行く旅の途中だった。

熊野にはこれまで何回も行っているが、なにせ遠いため途中で何泊も宿泊することになる。

もちろん、宿泊先までは御師様の目が届かないため、そこで軽く羽を伸ばすのが安珍の密かな楽しみの一つとなっていた。


真砂に立ち寄ったのも、宿泊の為だった。

真砂庄司清重は信仰心が厚く、僧侶や熊野詣でをする人々に非常に親切だった為、安珍もずいぶん真砂庄司清重の世話になっていた。


安珍は好青年で、特に笑顔が魅力的なだった。

その笑顔を見ると、それだけでなんだかほっとする。

居るだけで人を安心させる天性の魅力を備えた存在だった。

しかし、それだけではなく、頭の回転も早く、口も立つ。

父、真砂庄司清重はよく「坊主にするには惜しい才能だ。その才覚は商人に向いてる故、自分の下で働かないか」と言って安珍を誘っていた。

しかし、一応まじめに仏の道を極めようと考えていた安珍は、真砂庄司清重の誘いに首を縦に振ることは無かったのである。

そんな安珍にますます真砂庄司清重は惚れ込んでゆき、安珍が真砂庄司清重の家に泊まる度に誘うことが常となっていた。

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