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コア  作者: 亜鶴間時間暁
1/10

コア 1


朝7時。アラームの音で高地悠斗コウチユウトは目を覚ました。

のそのそと高校の制服に着替え、一階へ下りる。

リビングではすでにワイシャツ姿の父が朝食を食べ始めていた。

「おはよう」新聞でほとんど顔の隠れた父が言った。

「うん」悠斗も席につく。

「おはよ、悠斗」母がトーストとサラダが盛り付けられた皿を差し出す。「ジャムは自分で塗ってね」

「いただきます…」

朝のニュース番組を見ながらのいつもの時間。

「お母さーん!あたしのミニバック知らない?」

2歳下の妹、悠菜ユウナがまた何かを探している。

「だから昨日確認しときなさいって言ったのに。自分の部屋にあるんじゃないの?」

「えー!探したもん」

「いってくる」支度の終わった父がカバンを持って立ち上がる。

「ああ、いってらっしゃいあなた。今日は大丈夫そう?」

「多分な。会議さえ早く終われば、残りは家でもできるんだが」

「そう、気をつけてね」

「うん…、あ、悠斗」

「何?」まだ寝ぼけた目で父をみる。

「勉強も大事だがあんまり遅くまで起きとくなよ。睡眠も大事らしいぞ」

それだけ言って、父は会社へ向かって行った。


「また徹夜?」母が心配そうに聞く。

気がつかなかったが、父は昨日帰りが遅かったらしい。その時に見られていたのかもしれない。

「いやそんなに遅くまではしてないよ」悠斗も支度を整える。

「お父さんもああ見えて一応は心配してるみたいね」

「今日は塾行くし、課題さえ終われば早く寝れるって」

「似てるよね悠斗」探し物の終わったらしい悠菜が母の隣でニヤリと笑う。

「遅れるぞ」妹のことは待たず、悠斗は玄関を出た。

閉じた扉の後ろで、二人の慌ただしい会話を聞きつつ、いつもの通学路へ歩き出す。


(今日は水曜日…1限から体育か…。だるいな。

早めについたら授業までに数学の予習やっといた方がいいか。

そういやあの課題まだ期限あったっけ。

あとで聞いとかないと…。)


「あ、高地君」

名前を呼ばれてふと顔を上げると、見たくない顔があった。

「おはよう。今日も寒いね」


竹下雁タケシタガン…悠斗が最も嫌いな同級生だった。

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