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痛い……
熱い……
苦しい……
またこれだ。こいつらには考える事も出来ないのか?何がいけないのかも………
そこで記憶は途切れた
目が覚めた。何度見た景色だろうか。もう覚えてすらいない。家族もおらず家もない。毎回、雨の降る中商店の軒先で眼を覚ます
ただ一つ覚えていることがある。今日、職が決まるという事だけだ。
この世界には農民か戦闘職のどちらかにしかならないと決まっている節がある。
前日くすねていたというパンで腹を満たし、
今回の職を決める為に神殿へと向かった…
「なんでお前がいんだよ。とっとと失せろw」
何回も聞いたセリフだ。もう気にもならない。
「無視してんじゃねぇよ」
思いっきり突き飛ばされた。街中でなら暴力を振られるがここは神殿。こいつらでも自重できるようだ。
「おい、何やってんだ。君、ごめんな……」
こいつらの中の誰かの父親だ。謝っても手は差し伸べない。助けたくないのが透けて見える。
「今回の候補者はこちらに集まってくだされ」
神官の言葉が響く。他のガキどもは一斉に神官の方に集まっていった。自分も立ち上がりその後を追っていった……
「君はお金が無いだろ?神にお金を納めずに職だけ貰おうなんてそんな事出来ないんだよ」
これは初めて言われた。ついに運まで尽きたか……そこまでして邪魔をしたいのか?
「「「で、て、け!で、て、け!」」」
咎める者のいない言葉を浴びせられる。見習いの神官に外に連れ出されるのに時間はかからなかった。
行く宛ても失った元の生活に戻るしかない。悲しみの中普段使いの小穴に戻った。
ん?何かが違う。人がいたのだ。
「あなたが……追い出されてしまったのですね…」
頷く
「あまり手を貸すなとは言われているのですが……」
そう言って女が放ってきた光が体内に取り込まれなにか温かいものが感じられるようになった…