表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/68

プロローグ 七

 「何これ!おいしい!」

そのチョコレートは僕好みのビターなもので、「彼女が作った。」ということを差し引いても、本当においしいものであった。

 「え~それ本当に言ってる!?」

「うん。やっぱりチョコレートはビターじゃないとね!あと、ちょっと柔らかい感じもいいかな。」

「うんうん。やっぱり私の腕は間違いないか。あと、私翔真がビター好きだってこと、ちゃんと調査済みであります!」

そういえば僕は昔、そんな話をしたことがある。

 「ありがとう亜紀!亜紀なら本当にいいパティシエになれそうだね!」

「翔真、本当にそう思う?」

そう言った亜紀は、今までの冗談モードから

真剣な顔になっており、それが彼女の決意を表していた。

「うん!僕、お菓子のことはよく分からないけど、亜紀なら絶対に夢、叶えられると思うよ!」

そして、僕は亜紀の背中を押す。

「ありがとう!何か、嬉しいな…!」

そう言う亜紀の目からは、涙が少しこぼれる。

 「亜紀…もしかして、ちょっと不安だったりする?」

僕は亜紀の彼氏だ。亜紀の気持ちは、誰よりもよく分かる…いや、分からないといけない。

 「うん…実はね。

私、やっぱりお菓子作りは経験したことないし、それに私、外国で勉強するわけだし…。

 もちろん自分で決めたことなんだけど、私、やっぱり不安で…。」

そんな彼女を、僕は優しく抱き寄せる。

 「大丈夫。亜紀ならできるよ。亜紀を1番近くで見てきた僕が言うんだから、間違いないって!

 それに、僕はいつでも亜紀の側にいるよ。だから、頑張って、亜紀。」

「うん、翔真、ありがと。」

僕は耳元で亜紀にそう囁き、亜紀はそう返事をした。

 思えばその時が、僕たちの愛のピークだったのかもしれない。

 この後、まさかあんなことになるなんて、その時の僕は、想像もしていなかった。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ