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留学 三
「お久しぶりです、豆田さん。」
「久しぶりですね、森川さん。」
僕はその日、「1回目」、亜紀に呼び出されて振られたその日、亜紀を呼び出していた。
場所は…亜紀と僕が1回目に別れた、同じ場所である。
約半年ぶりに見る亜紀は…、少し痩せたように見えた。
やっぱり、留学の件で、少し疲れているのだろうか。
「森川さん、フランスに留学するんですか?
サークル仲間から聞いたんですが…。」
とりあえず、僕たちは世間話をする。
「あ、はい。私、パティシエになりたくって…。」
「そうみたいですね。準備、大変ですか?」
「そうですねいろいろと。最近は、フランス語の勉強も、かなりやっています。」
「なるほど。」
その後、ひとしきり世間話を終え、亜紀が口を開く。
「それで、話って…?」
そこからが、本題である。




