留学 二
〈(2018年3月、2回目)〉
2017年の秋、亜紀と「別れた」僕は、その後普通に大学生活を送っていた。
その間、僕は「元の世界」に戻る方法を一応考えたが、(SF研究会の僕でも)いい方法を全く思いつかなかった。
『…とは言っても、もうすぐ元の『未来』と、『2回目』の時間が一緒になる。
ということは、自動的に僕は元に戻れる、ということだな…。』
僕は、そこまで考えて少し安心する。
そして僕はその間、亜紀とは一度も逢っていない。
まあ、風の便りに、
「森川さん、フランスに留学するんだってよ!」
とサークル仲間から聞いたが、その答えをあらかじめ知っていた僕は一応、
「そうなんだ!すごいな!」
と初めてそれを聞くリアクションをして、その場をやり過ごした。(まあ、そのサークルにも、僕は亜紀のいる時を含めほとんど出ていなかったのであるが。)
…しかし、僕は片時も、亜紀のことを忘れた時はなかった。
離れれば離れるほど、もう逢わない、逢えないと思えば思うほど、僕は亜紀の顔を思い出してしまう。
やっぱり、そこにはどうしても亜紀のことを忘れられない、自分がいる。
…僕はこの半年間、そんな自分の気持ちと、戦っていた。
そして僕は、ある「決意」を、固めた。




