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プロローグ 六
「…でも、フランスで生活するあてなんてあるの?」
「あてはないけど、一応向こうの専門学校の入試は受かって、あとは大学を一旦休学してフランスで学ぶ、って所までは行ってるんだ。
まあ入試は、その専門学校の日本支部で受けたんだけどね。あと、前にも言ったけど大学は絶対に卒業するよ!…まあ、ちょっと時間はかかるけどね。
だから、これからフランスで暮らす準備、しないといけないなあ~!
今まで黙っててごめんね。ちょっと恥ずかしかったから、決まってから翔真には言おうと思って…。」
「いや、それはいいんだけど…すごい行動力だね。」
本当に、彼女の行動力には脱帽だ。
「ありがとう~翔真!でも、褒めても何も出て来ないよ!
まあチョコは出て来るけどね!」
「あ、ありがとう亜紀。」
「はい!じゃあこれ、プレゼント!」
そう言って、彼女は手作りチョコレートを僕に渡す。また彼女の方が、
「それ、開けていいよ。今すぐに食べて感想聞かせてください!」
と言ったので、僕はそのチョコレートを口の中に入れた。