表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/68

それは、言ってはいけない言葉 十四

 「実は僕には、好きな人がいるんです。その人は、優しくて、でも負けず嫌いな所もあって…、本当に、かわいらしい人です。

 そしてその人には、夢があるんです。僕は、その人の夢を邪魔したくないんです…。

 って、わけ分かんないですよね?ごめんなさい。

 それで、僕はその人を、悲しませたくありません。だから、僕はその人のために、もう森川さんとこういう風に会うことはできないんです。

 僕は、森川さんのことが嫌いなわけじゃありません。ただ、僕は、本当に『その人』のことが好きなんです。だから…、

 ごめんなさい、森川さん。」

気づいたら僕は、映画以来の涙を流しながらそう言っていた。

 『この時点での亜紀にしてみれば、僕の言っていることは全部は理解できないだろう。

 でも、それでも…。』

僕は亜紀に、そう言った。

 また、僕は亜紀に、嘘はつけなかった。だから、「亜紀のことが嫌いだから、もう会いたくない。」とは、どうしても言えなかった。

 そして、それまで僕の話を黙って聴いてくれていた亜紀が、口を開く。

 「豆田さん…豆田さんは、『その人』のことが本当に大事なんですね?」

「…はい。」

と、僕は答える。

 また亜紀の方も、少し泣いているように見えたのは、気のせいだろうか。

 「…分かりました。ではこれで、私も豆田さんとこうやって会うのは最後にします。

 今まで、本当にありがとうございました!」

「こちらこそ、ありがとうございました!」

僕は、亜紀に「好き」と伝える代わりに、今までの全ての気持ちを込めて、感謝の言葉を言った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ