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それは、言ってはいけない言葉 十三
「…どうしました、森川さん?」
「…豆田さん、豆田さんが嫌でなければで構わないのですが…。
今度、一緒に行きたい所があるんです。」
それは、僕と亜紀が、3度目のデートで行った場所だ。
「…嫌ですか?」
『…まさか。』
嫌なんてはずがない。僕は、今でも亜紀のことが好きだ。そんな僕が、亜紀からの誘いを断るなんて…本来なら考えられない。
また、僕は心のどこかで、亜紀からまた誘われることを期待していたのかもしれない。
でも、それでも…僕は亜紀に言わないといけない。それは、僕のためでなく、亜紀のためにすることだ。
そして、僕は今日のデートの前に考えていたことを、口にする。
「すみません、森川さん…。
こうやって会うの、最後にしてもらえませんか?」
気のせいだろうか、亜紀は若干悲しそうな顔をしているように見えた。しかし僕は続ける。




