それは、言ってはいけない言葉 十二
「豆田さんのジャケットと、このパンツ、絶対合いますよ!」
僕はショッピングに向かう前、「自分はファッションに疎い」という「2回目になる」説明を、亜紀にしていた。
すると亜紀の方も、「1回目」と同じように、
『大丈夫です!私ファッション好きなんで、何なら今日は豆田さんの服、選んであげますよ!
今日映画に付き合ってくれたお礼ということで…どうですか?
あ、もちろんお金を払うのは豆田さんですけどね!』
と、僕に言った。(若干「1回目」とは違う展開ではあるが。)
また、僕はこの日の「デート」に、「1回目」の時と同じ服装で来ていた。
「な、なるほど…。」
「1回目」の時と同じカーゴパンツを薦められた僕は、そう言葉を返す。
『僕、何度ショッピングに来ても、やっぱりファッションには慣れないなあ…。』
また僕は、ふとそんなことも思う。
「あと、この茶色のハイカットスニーカーも、秋らしくっていいかもしれません!」
やはり同じスニーカーを、僕は薦められる。
…僕はファッションには疎いものの、そうやって亜紀と過ごす時間はやっぱり楽しくて、時間を忘れてしまいそうになる。
『こんな時間が、永遠に続けばいいのに…。』
僕は、そんなことまで願ってしまう。
…結局僕は1回目の時と同じく、カーキ色のカーゴパンツと、茶色のハイカットスニーカーを購入した。
「じゃあ、そろそろ帰りましょっか、森川さん。」
そう僕が亜紀に声をかけると、
「あ、あの…。」
亜紀が少しもじもじしながら、僕に話しかける。




