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それは、言ってはいけない言葉 十一
「豆田さん、泣いてましたね!」
映画館を出た後、亜紀が僕にそう言うと、僕は恥ずかしくなり、
「ちょ、ちょっとだけですけど…。」
と、しどろもどろになりながら答える。
「…でも、森川さんも泣いてました…よね?」
そして僕がそう言うと、
「わ、私も…ちょっとだけですけど…。」
と、顔を真っ赤にしながら答える。
久しぶりに見たような気がする亜紀の恥ずかしがる仕草を、僕はかわいいと思った。
「ところで豆田さん、この後、時間あります?」
「え、あ、はい。」
「じゃあ、ショッピングに行きません?」
『やっぱり、こういう展開になるんだな…。』
僕は心の中でそう思い、
「いいですよ。」
と返事をした。




