それは、言ってはいけない言葉 六
その後、僕たちはショッピングに出かける。
そこには秋冬シーズンの服がいっぱい並んでおり、それらを見た亜紀のテンションは、上がっているように感じられた。
またそこには、僕たちみたいな若いカップルもたくさんいて、またまた僕はそんな光景に少し気後れする。
そんな僕の様子に、たぶん彼女は気づいたのだろう。
「翔真、…大丈夫?」
「え、ま、まあ大丈夫だけど…。」
と一旦は言うものの、やっぱり亜紀に嘘はつけない。
「ただ、周りのカップルの人たち、楽しそうだな、『リア充』してるな、って…。
僕、ファッションも恋愛も慣れてないから…。」
「大丈夫大丈夫!さっきも言ったけど、私もおんなじだよ!
周りは気にしないで、私だけ見て!…なんてね。」
彼女はおどけてそう言う。それは(たぶん)言った本人だけでなく、聞いているこっちまで恥ずかしくなるような台詞であった。(実際、彼女はそれを言った後、かなり恥ずかしそうにしていた。)
でも、そんな彼女の様子が逆に僕を勇気づけた。彼女もそのことを、分かっていて言ったのだろう。
「分かった。」
僕はそう言う。
「了解!
じゃあ今日は私が、翔真に似合う服選んであげるね!」
「ありがとう。」
そして、ショッピングが始まった。




