ダブルデート 十五
ランチの間は、(前回と同じく)僕が天然である、という話の流れになった。
そしてその話の間、亜紀はクスクス笑っていた。
『前回はそこまで余裕がなかったけど、亜紀はクスクス笑う顔も、かわいいなあ…。』
僕はそんなことを、改めて思う。
それは、「やっぱり僕は、亜紀のことが好きだ。」ということを、再確認させるには十分であった。
そして、ランチが終わる。
その後、僕たちは1回目と同じように、次の行き先へと向かう。
そして次の行き先の駐車場に着いた時、亜紀はこちらが驚くようなことを言った。
「あの…すみません豆田さん。
連絡先、交換しませんか?」
「は、はあ…。」
それは、1回目にはなかった展開だ。僕は驚きのあまり、そんな何とも間抜けな返事しかできない。
思えば1回目のこの時間は、亜紀の方から、僕の告白の返事、OKをもらえた時間であった。しかし、2回目では僕は告白をしていない。だから、(繰り返すが)「過去」は変わって当然、といえば当然なのだが…。
「…迷惑ですか?」
「いえいえ、そんなことないですよ!
分かりました。連絡先交換しましょう!」
もちろん、亜紀からの呼びかけに迷惑なんてない。僕は亜紀の言葉を全力で否定し、連絡先を交換する。
もちろん、僕は「前」から亜紀の連絡先を知っているのだが、やはり「連絡先の交換」は嬉しいものだ。
そしてその後僕たちは2回目の、「初デート先」の駐車場を出た。




