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ダブルデート 九

 そして、僕たちは食事をしながら話をする。その時に森川さんが、

「そういえば、時川さんも、珍しい名字ですね!」

と言い、

「そうですよね!ま、地元では多いんですが…。」

と達紀が森川さんに返す。

『前に森川さん、僕の名字に対しても同じようなこと言ってたな…。』

 その時僕は、達紀に軽くジェラシーを抱く。

 そしてその瞬間、そんな自分が嫌になる。

 つくづく僕は、情けない人間だ。

 また、

 「時川さんと貴子さんって、どうやってお付き合いするようになったんですか?」

と、森川さんが訊くと、達紀は自慢げにこう答える。

 「あ、俺たち、おんなじ学部なんです。それで、お互いにお互いを気にするようになって…。それで気づいたら、両想いになってました!

 ま、告白したのは俺からなんですけどね!」

「へえ~いいですね!

 私もそういう出会い、憧れるなあ~!」

そう言って森川さんは、また笑顔を見せる。

 その笑顔もまぶしくて、僕の心は少し苦しくなる。

 また僕は、

『僕は森川さんにとっての、そんな『出会い』の人になれるんだろうか?』

というようなことを、ふと考える。

 「…おい翔真、聞いてる?」

…どうやらそのまま僕は、少し物思いに耽っていたみたいだ。

「あ、ご、ごめん…。」

「すみません、こいつちょっと天然な所がありまして。」

そう達紀はみんなに対して言う。そして、僕はさらに赤面する。

 そして、そんな僕を森川さんはクスクス笑いながら見つめる。

 『ああ最悪だ…。これ、絶対マイナスポイントだ…。』

僕はそう思うが、ここで落ち込んでしまうと状況はさらに悪くなる、僕はそう思い直し気持ちを何とか切り替えようとした。

 そして、4人が食べ終わり、僕たちは(今度は達紀の提案の下)次の行き先に向かった。

 また、そこから先はそれぞれ、2組ずつで別行動をとることになった。

 

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