25/68
出会い 十三
…そして、その次の瞬間。
1回目の時は彼女を半ば無意識に追っていた僕は、あえて彼女を追わなかった。
そう、そうやって今日が過ぎれば、彼女に告白するタイミングもなくなる。…それが僕の狙いだ。
『そう、こうすることが、僕たちにとっての正解なんだ…。』
僕は帰り支度をしながら、そう思う。
そして、そう思うと何だか悲しくなって、僕の目からは先程とは比べ物にならない程の涙が溢れてくる。
「…翔真、どうしたの!?」
その様子を心配した部長が、僕の所に来て声をかける。
「…いえ、何でもないです。
とりあえず、失礼します。」
僕は何とかごまかしながら、その場を後にする。…もちろん、その間亜紀の方は見ていない。




