表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/68

出会い 九

 「…ってか、翔真泣いてる?」

「いえ、ちょっと来る途中で、目にゴミが入っちゃって…。」

部長がそう言う。その一言は、1回目のこの日にはなかったものだ。

 また、部長にそう言われるまで、不覚にも僕は自分の目に涙が溜まっていることに気づかなかった。

 しかし、とっさにそうごまかしたことは、僕の割にはよくできた嘘だ。

 そして、これから僕はもっと大きな「嘘」を、自分自身につかないといけない。

 それを考えると、もっと涙が溜まってくるが、何とか僕はそうなるのをこらえた。

 「そういえばさ翔真、今日、新しい子がうちのサークルに入ってくるからね。」

 それは、聞き覚えがある、1回目のこの日にも聞いたことのある台詞である。

 「ああ、そうなんですね。」

その部長の一言に僕は、気のない返事を返す。

「何だよ~もっと喜べよ。

 ちなみにその子、めっちゃかわいいからな!」

僕のリアクションで、またも過去が少し書き換えられた。

 なぜなら僕は1回目のその日、

「えっ、そうなんですか!?楽しみだなあ!」

と、ハイテンションで返事をしたからだ。

 しかし、悲しい恋の結末を知る僕としては、とても喜べる気にはなれなかった。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ