出会い 六
「…どうしました、豆田さん?」
そこから先は、まるで天から台詞が降りてきたかのように、普段の自分からは考えられないように口が動いた。
「あの、森川さん。
僕、森川さんのことが好きです!森川さんに、一目惚れしてしまいました!
だから、だから…僕と付き合ってください!お願いします!」
そう早口で喋った僕を、彼女が驚いた表情で見る。
「えっ、そ、それって…。」
告白後僕はうつむいていたが、恐る恐る顔を上げると、そこには驚いた表情の森川さんがいた。
また、普段色白の森川さんが真っ赤になっている…僕はそんな森川さんの変化を読み取った。
「…でも私、まだ豆田さんのこと、何も知らないって言うか、何て言うか…。」
今までの彼女の様子からは考えられないほど、その時の彼女はオドオドしており、どもりながらそう答える。
彼女はこういった告白に、慣れていないのだろうか?
…見た目の割に、彼女は告白されたことが少ないのかもしれない。
…僕はそう思うと同時に、その言葉の意味を悟った。
そう、これは、遠回しに僕が「振られた」ってことだ。
「…ですよね。急にごめんなさい。
今日のことは忘れてください。じゃあ僕、帰ります…。」
そう言って帰ろうとした僕を、今度は彼女が呼び止める。
「ま、待ってください豆田さん!
すみません、私、こういうの苦手で…。
でも、とりあえずまずはお友達からなら、大丈夫です!
…連絡先、交換しませんか?」
彼女が僕を引き止めた理由は、僕にとって意外なものであった。