出会い 三
〈追憶 一(2017年10月4日、1回目)〉
「今日からうちのサークルに入ることになった、森川亜紀さんです!」
「森川亜紀です!よろしくお願いします!」
彼女を一目見た僕は、はっとした。
そう、僕はその日、生まれて初めて、一目惚れをした。
僕たちのテニスサークルは、メンバーの人数が少なく、14人しかいなかった。そして森川さんが入り、15人目のメンバーとなった。
そんな森川さんは、色が白く、ほっそりした体型であったが、目は力強く、背筋もまっすぐ伸びており、決してオドオドするタイプではないように感じられた。また、それに関連して、自己紹介の時の話し方もハキハキしており、「テキパキと何でもこなせる女性」といった印象を、僕に与えた。
そして、そんな森川さんの自己紹介の時、僕は何度か森川さんと目が合ったように感じたが、気恥ずかしくなった僕は目をすぐに逸らし、その後はうつむき加減であった。
「一応森川さんはテニス経験者らしいから、このままみんなで打とっか。」
そううちのサークルの部長が言い、僕たちはとりあえず、いつも通りのラリーを始めた。
そんな森川さんのテニスは…お世辞抜きで上手であった。
さすが経験者、というだけあって、フォームはとてもきれいであった。また、サーブの球速も、その細い体からは想像できない速さであった。(無駄のないフォームが、そのスピードを可能にしているのだろう。)