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1話「思い出せない夢」

初めまして、この文章を読んでいないという事は私が今付け足したという事になります。そしてこの小説は初めての投稿です。これからよろしくお願いします。


 小さいときから毎日俺は同じ人が出てくる夢を見ていた。


 その夢の内容は、大きな家で俺と二人の少女が一緒に楽しく生活をして、一緒に寝て、一緒にお風呂に入り、一緒にダンジョンに潜ったりと他にも色々なシーンがある夢だ。


 その夢を見ている時は楽しんでいると、そう俺は思っている。


 しかし夢に出てくる女の子の名前や顔、年齢などを思い出そうとすると、靄のようなものが掛かり思い出すことが出来ず、頭痛がしたりした。


 そのせいで俺は何度か学校を休み病院へ行くことがあった、だが出る結果はいつも『大丈夫』という結果だけ。


 まあ、別にこれのせいで損をしたという事はないのだが。


 ◇◆◇◆◇


 「うっ、うはー」


 俺――――結城日向ゆうきひなたは大きなあくびをしながら瞼を開き、ベッドから体を起こす。


 ベッドから体を起こし終わると、俺は今日の夢を思い出してみた。


 今日の夢はいつも通りのメンバーでおままごとをしていた。おままごとでの俺の役は少女二人の夫役。


 妻二人に夫一人というのは、日本じゃ絶対に見ることはない。そもそもそんな一夫多妻をしている家族は存在していないと思う。


 そんなことを思いつつも、俺は夢の内容をどんどん思い出していく。夢の中では現実で起きそうな事は全く起こらずに、おままごとは最終局面を迎える。


 そこで妻二人、ではなく少女二人の口が同時に開いた。だが口は開くものの何を言っているのかは分からない。


 そこまで思い出し、俺は頭に今まで感じたことのない激痛を感じた。その激痛はどんどんひどくなる。


 「いたっ。うっ、あ、この痛みはヤバいな」


 そう口にすると夢の内容を思い出すことを止めて身支度をし始めた。


 結城日向は学力、運動能力、顔全てにおいて『普通』という種類に属している。学校でのカーストも中間といったところだろう。


 だけど結城日向には誰にも負けないものがあった。


 それは……毎回見る夢が結城日向本人からすると楽しい、しかし周りの人からするとどうでもよい事だ。


 そんなこんなで俺はは朝食と歯磨きに食器洗いを済ませて学校へ行こうと、玄関で靴を履こうとしていた。


 その時だ。


 『ピーンポーン』

 「宅配便です。居られるのでしたら、荷物のお受け取りをよろしくお願いします」


 呼び鈴の音と宅配業者さんの声が聞こえてきたのだ。


 宅配業者さんの声を聴いた俺は履きかけていた靴をすぐに履き、鍵のかかった玄関のドアのかぎを開け急いでドアを開いた。


 「おはようございます。朝早くからお疲れさまです」

 

 ドアを開くと、そこには宅配業者の制服に身を包んだ30代くらいと思われる男の人が立っていた。


 俺はその人を見るなり、朝の挨拶とお疲れさまのダブル挨拶をした。


 すると宅配業者の人は日向のダブル挨拶に反応をしようと頭にかぶっていた帽子を脱いだ。


 「いえいえ、こちらも好きでこの仕事をしていますからどうってことないですよ。あ、そうでした。こちらが結城……日向さん宛ての荷物です」


 そして宅配業者の人は丁寧に返してくれた。


 その後思い出したかのように日向宛の荷物、封筒を差し出してきた。


 そこで俺は差し出された封筒を見て「そうでしたね」と、口にするとこの言葉に後に感謝の言葉も言う。

 

 「ありがとうございます」


 そう言って俺は配達業者の人の手にある封筒を受け取った。


 直後、手から封筒がなくなった配達業者の人は帽子を頭から取ると、


 「ご利用ありがとうございました」 


 笑顔でそう言って、バイクのある方に歩いて行き、数秒後バイク音を鳴らして去って行くのが見えていた。


 そんな俺はというと、配達業者の人が去った後玄関のドアを静かに閉めて立ったまま、手で持っている封筒を見ていた。


 正直配達業者からの荷物はほとんど毎日来るのだが、こういった類の荷物は今年になってから初めてだと思う。


 ちなみに、宅配業者からほとんど毎日のように荷物が届くのかというと、俺の親が会社からいらなくなった荷物を送ったりネットで見つけてしまった良い物などを買って俺が家を出るときに届くように送っているからだ。


 俺の親は、父母どちらも会社で社長という地位を持っている。

 

まず父は建設業のエキスパートで、社長になってからも部下たちにとても分かりやすい設計図を作っている。


 そこらじゅうで建設されたものはすべて父の会社のものだと思っても大丈夫だ。


 次には母だが、2つの種類の仕事をしている。


 俺もつい最近知ったけど。


 で、母がしている仕事は、デザイナーの社長と大手ホテル会社の社長だ。


 デザイナーでは多くの女優が着るドレスなどを作り、ホテル会社では常にお客が快適に楽しくいられるように社員と一緒に施設の掃除などをしているそうだ。

 

それに俺の両親はお金をあんまり使わずに社員の給料へと回している。それとネットで見つけてしっまた良い物、といってもそんなに高くないものだったりする。


 それと俺の場合、父と母から食費とおこずかいはしっかりもらっているため不自由でもない。


 そう思いながら俺は、あの時両親に言ったことを無意識に口から出ていた。


 「『僕は1人でも大丈夫だから、お父さんとお母さんは仕事頑張ってね。』か。あの時の俺は凄いこと言ったんだな……」


 あの時とは、俺が中学校に上がる前の小学校6年生の卒業式後の事だ。

 

 俺は小学校5年生の時には気づいていた。両親はどれだけ忙しくても1日交替で俺の所へ来て面倒を見てくれていた事を。


 その時はまだ俺も心の準備が出来ていなかった、これからも両親と楽しく生活をしたいとそう思っていた。


 だけどそんなことで迷っていればたまった疲れによって両親がこの世を絶ってしまうかもしれない、そう思うようになっていた。


 だから俺はあの時そう言ったんだと思う。


 あれから約4年。今じゃ両親には年に1、2回しか会わないけど、俺はこんな立派になったんだよ。

 と、俺は両親にそう言ってあげたい。


 そんなことをしているうちに俺は、封筒に不思議な疑問を抱いていた。


 しかしそんな思いを吹き飛ばすかのように、俺の目には8時という時間を指している時計が目に入ってくる。


 「え、時間めっちゃ過ぎてるじゃん」


 その言葉を最後に俺は封筒をカバンに入れて急いで学校に登校したのだった。



最後まで読んでくださりありがとうございます。

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