表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
13/52

これは最悪な出会いなの?13

そのうち客が付くだろうと高を括っていたが、ハイディの不安は的中。3日連続で新規顧客は増えなかった。

「なんでや」

「最初の余裕はどこにいったのよ」

おかしい、こんなはずでは……

「相変わらず買いに来るのはケイヤさんと飲食店関係の人たちね」

「おかしいな、ちゃんとステマしてくれているのか?」

「ステマ?」

「口コミで広まると思ったが、甘かったか……」

「エイスの言ってた下準備も無駄だったのかしらね」

 「いや、そんはずはないなんだが」

そうだ、下準備としてケイヤたち騎士と飲食店への普及は済ませてある。後、なにか一押しがあればいいんだが――

「ハイディ」

 「なに?」

「ハイディに魔法を使うのと、街の住民に魔法を使う、どっちがいい?」

「何をする気よ!?」


あれから数日後、教会付近に人だかりができている。みんなの目当てはそう、教会で販売しているコーヒーだ。

街の住民を巻き込むくらいなら自分に魔法を使えと、献身の鑑とも言えるハイディ。そして、元凶であるエイスがそこにいるはずなのだが、姿が見えない。それもそのはず彼女たちの姿を魔法で変え、大人の女性となっているのだ。

テコ入れである。実に卑怯な手段ではあるが、これのおかげなのか、もしくは地道な下準備がようやく実ったのか、それは今となっては分からないが、行列ができるようになったのだ。

「見たか、ハイディ!!これが俺の策よ!!」

「分かったから手を動かしなさい!!」

すっかり看板娘となった2人。おかげで寄付金もだいぶ集まり、教会での生活が潤ってきたのだ。

本日の販売を終え、翌日の仕込みをしている中、ハイディが聞いてきた。

「ねぇ、エイス。そういえばあの話はどうなったの?」

「あの話?」

「魔法使いに喧嘩を売るとかどうとか言ってたじゃない。もう止めたの?それならそれで良いんだけど」

「まさか、さすがに忘れねぇよ」

嘘である。商売が楽しくて若干忘れかけていた。危ねぇ危ねぇ。なんのためにこんな回りくどいことをやってきたと思ってんだよ。ただ、今が待ちの時期だからつい、ね。

「私は忘れてて良いと思うわ。その、エイスとお店やるのって楽しいし」

ハイディさんがデレた!?

「このままずっと続けばいいのに」

「そう、だな」

そう、少し寂しそうな表情をするハイディ。ああ、気づいているんだな。今の状況がいつまでも続かないことを。そしてその原因も。

だけど安心しな、ハイディ。お前のその不安は俺が取り除くさ。そのためにこの世界に俺はやってきたんだから。理由は後付けだけど。

前回のバカ殿の行列からそれなりの日が経っている。そうでなくても街にはコーヒーの話が広まっている。それがゴーシュの耳に入りさえすれば、後はこっちのもんよ。決戦の時は近い。


今日も今日とて店頭でコーヒーを売る俺たち。しかし、今日は何かが違った。いや行列はいつも通りあるんだよ?場の空気が明確に変わったのは昼前頃だった。

ドシン、っと遠くから響く音が聞こえた。ようやく引きこもりのニートが部屋から出てきたか。既に手は打ってある。後はそれがどう作用するかだ。

「ねぇ、エイス、今の振動って……」

「ああ、ようやくだな」

「どうしよう?大丈夫かしら?」

「あいつがこの店に来たら任せな。俺が何とかするさ」

「それが不安なんだけど……」

信用無いなぁ、相変わらず。まぁまだ実績を作ってないからなんとも言えないのが悲しいかな。

その後、惹かれるようにこの店にゴーシュがやってきて、コーシーを買い取る権利を売れという話まできた。ククク、ここまで思った通りに事が進んでありがたい話だよ。しかし、この場では契約ができないとか適当に言葉を濁して、明日会う約束を取り付けた。場所はゴーシュの館。

この約束が欲しかった。ゴーシュとタイマンで会える機会をずっと作りたかったんだ。それにしてもなんであのバカまでコーヒーをコーシーって言うんだ?

待てよ、この言い間違い、もしかして使えないか?そうだ、イケる、イケるぞこれは!!イケなかったらそれはそれで良し!!後は、契約書を作らなきゃなんだけど……

「なぁ、ハイディって字書けたりしない?」

「書けるけど、この期に及んで何する気よ?」

「アイツをハメてやろうかと思って」

「また悪い顔してるわね、それでなんて書けばいいの?」

さっすがハイディさん、頼めばなんでもやってくれるな!!言ったら怒られそうだけど。どうやら小児教育が行き渡っているみたいで、実のところ、この世界の住民の識字率は高いようだ。こういう所はちゃんとしてるんだよなぁ。残念ながら俺はこの世界の文字を書けないけど。全然わからん。読めはするんだけどね。なんでだろうね。

「なんだか悪いことをしている感じなんだけど」

「あながち間違いじゃないわな」

「ちょっと、私に何させようとしているのよ!?」

「ダイジョーブダイジョーブ、ハイディに被害はいかないようにするからさ」

「それは別にいいんだけど……」

とブツクサ言いながらも契約書を完成させるハイディ、やはりできる女は違うな。

さて、こいつを持って明日は決戦だ。大丈夫、脳内シミュレーションは済んである。悪い方に転がれば、きっとこの教会にも被害が及ぶだろう。それだけは絶対に阻止しなくちゃいけない。まぁ、最悪ごり押しでぶっ飛ばすからそれでいいか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ