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八九 町役場攻略

 門から行軍を続けること約10分、町役場が姿を表した。

 それまで懸念していた天政府軍は現れなかったが、その代わりに町役場を囲むように天政府軍が監視していた。

 向こうの方が早くこちらに気付いたようで、天政府軍は既に臨戦態勢をとっていた。

「あっ、なるほど……だから遭わなかったのか……」

 エレーシーは、思わずシュビスタシアで経験した苦い、市役所前での戦いを思い出していた。

「……いや、今回はあの時とは違う。頭数もあれば、前よりかは多少なりとも技もある」

 ちらっと後ろを付いてくる兵士達を見ると、唇を噛みしめて再び前を見据えた。

「皆! 一気に勝負を決めるぞ! 破壊する勢いで進めー!」

「ワーッ!」

 エレーシーの檄に、全ての兵士が応えた。

「主力部隊、弓矢部隊、突撃ー!」

「ワーッ!」

 エレーシー自らも剣を構えながら号令を下すと、堰を切ったように一斉に支援部隊以外の兵士達が町役場の玄関を目掛けて全速力で走り始めた。

「行け! 行け!」

 エレーシーに続き、ティナも兵士達を囃し立てた。

「勢いを緩めるな! 軍に打ち勝つのが目的ではない!」

 兵士達はエレーシーの忠告通りに天政府軍と直接戦わず、とにかく武装を叩き落とし、特に玄関前を守っている敵兵士を一対多で次々と引き剥がしては叩きのめし、縛っていった。

「よし、入ろう!」

 エレーシーは率先して扉に手をかけたが、何回も押したり引いたりを繰り返してもガタガタと音を立てるだけだった。

「横に開けるんじゃないの?」

「うーん、やっぱり開かない」

「鍵でも掛けたのでしょうね。皆で開けましょう、何人かこっちを手伝って!」

 ティナは兵士を呼び寄せて、全員で扉を力任せに押し続けた。

 扉はそれ自体からミシミシと音を立てながら押せば押すだけ変形していくようだった。

「これ、扉割れるんじゃない?」

「割れたら割れたで入れるじゃない。さあ、さあ」

 エレーシー達6人ほどでずっと扉を押し続けていると、急に扉に亀裂が入ったかと思った矢先、真っ二つに折れて建物の中に倒れてしまった。

「わっ!」

 ずっと扉を押し続けていた面々はそのまま倒れ込んでしまったが、エレーシーは笑顔を見せるとすぐさま立ち上がった。

「よし、扉は開かれた! 制圧も近いぞ!」

 協力していた兵士達も倒れたがすぐに立ち上がり、エレーシーの下に集まり指示を待った。

「町役場の制圧に取り掛かろう! 建物内にいる天政府人という天政府人を一人残らず建物から追い出そう! 主力部隊の第1班と第2班は、私達と一緒に町長室を目指すよ!」

「オーッ!」

 エレーシーの指令と共に、再び勢いをつけた部隊は再び一斉に町役場の中になだれ込み、天政府人を見つけては老若男女構わず次々と建物の外に連れ出しては一ヶ所に集めていった。

 一方で、ティナとエレーシーは、主力部隊の数人と一緒に町役場中を走り回り、町長の居所を聞いて回った。

「どう? 分かった?」

 ティナは息を切らしながら兵士に聞いた。

「はい! 2階にいるようです!」

「そう、よくやったわね。それじゃあ、2階に行きましょうか!」

 報告を聞き、ティナはいよいよと気を張りながら階段を上がっていった。

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